カルチャーアワー 文学の世界 ブロンテ姉妹(2008年4月～6月) その知られざる実像を求めて NHKシリーズ NHKカルチャーアワー

中岡洋

• 販売会社／発売会社: 日本放送出版協会
• 発売年月日: 2008/03/25
• JAN: 9784149106700

商品レビュー

2011/04/22

卒論では気づかなかった嵐が丘作家の生涯を知った。見落としていたというよりも学生から時を経て同じ情報を読んでも受け止め方が変わったのだろう。

2008/06/10

勇猛果敢で豊かな詩的表現と想像性をもったケルト民族であったと、著者は冒頭でブロンテ家のルーツを語る。１９世紀の衛生状態が子供が生き抜くには厳しかった様子や、独身女性が生活していくことも過酷であったことを垣間見ながら、子供や姉妹を愛しく思い、友情と尊敬と愛情に揺れる若き女性の葛藤が傑作を生み出したことが必然のようにも、奇跡のようにも思われた。子供のときに母親を亡くし、上の聡明な二人の姉も少女時代に亡くなってしまう。シャーロットとエミリ、そしてアン。弟のブランウェルは後悔しすぎて自暴自棄の末、死んでしまい、やがてエミリとアンも父親とシャーロットを残して逝ってしまった。シャーロットが亡くなったのでさえ、1855年、38歳の若さだった。そんな不幸がブロンテ家族にあったなど今まで知らなかった。けれど、その高邁な人生の結晶によって、今やブロンテカントリーとしてヨークシャー街は、観光で賑わっているそうだ。相手の思いに生きようとする愛を表現したブロンテ姉妹の心に共感する人々が多く訪れていることだろう。