露国及び露人研究 中公文庫

大庭柯公(著者)

• 販売会社／発売会社: 中央公論新社
• 発売年月日: 1984/03/10
• JAN: 9784122011090

商品レビュー

2018/10/22

【露な解剖図】ロシア語を巧みに操り、地理や歴史にとどまらず、文化やロシア人の心のひだまでをも解したとされる人物が著したロシア論及びエッセイ。激動の時代の真っ只中にあったロシアを間近で見た者の金言が数多く残されている作品です。著者は、明治から大正にかけて活躍し、日本におけるロシアの第一人者として知られていた大庭柯公。

執筆からかなりの年月が経ってはいますが、ロシアの本質に迫ったとされる一作と評されるだけに、今日においても考える糧を十二分に与えてくれる作品。あらゆる分野について緻密に記した大庭氏の筆を見るだけでも、氏の知力やロシアに対する愛情の深さがわかるかと思います。

〜私は露西亜を矛盾極まる不統一千万の国だと言いたい。しかしそのいわゆる矛盾極まり、不統一千万であるというのは、即ち露西亜の特色でもありまた特長でもあるので、勿論良き意味に取らなくてはならぬ。その矛盾極まって一定せぬところ、不統一千万で画一せぬところが、即ち露西亜の偉大であり、露西亜の将来ある所以でもある。〜

多くの人が名著と呼ぶだけありました☆５つ