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冒険と日本人 朝日文庫
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冒険と日本人 朝日文庫

本多勝一(著者)

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冒険と日本人 朝日文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 朝日新聞社
発売年月日 1986/01/20
JAN 9784022608154

冒険と日本人

¥385

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2024/10/20

 本多勝一の『アムンセンとスコット』で日本人の冒険について言及されていたので、本書を読んでみた。  一冊で一つのエッセイなのではなく、あちこちに掲載された本多のエッセイや冒険家へのインタビューが収録されている。ここでは、表題の「冒険と日本人」の感想を述べる。本書の出版自体が198...

 本多勝一の『アムンセンとスコット』で日本人の冒険について言及されていたので、本書を読んでみた。  一冊で一つのエッセイなのではなく、あちこちに掲載された本多のエッセイや冒険家へのインタビューが収録されている。ここでは、表題の「冒険と日本人」の感想を述べる。本書の出版自体が1986年なので、収録された小論はそれ以前のものであろうが、出典の年月もないので、いつ書かれた又は語られたものなのか不明である。  表題の「冒険と日本人」では、1962年に日本人として初めて小型ヨットによる太平洋無寄港横断を遂げた堀江謙一氏に対する当時の日本人の反応を皮切りに、日本社会の冒険家への態度を検証している。  堀江氏の横断成功のニュースの扱いは、ベタ記事から社会面のトップまで報道各社で異なった。トップの場合、堀江氏の経歴やヨットの構造、家族の様子だけでなく、海上保安庁や入国管理事務所の見解も出されている。本件は人命軽視の暴挙であって、着地からすぐに強制送還されるというコメントが載せられ、快挙へ賞賛というより、無謀を押しとどめるような教訓が主な論調であるとする。  実際は堀江氏は着地のサンフランシスコから強制送還などされなかった。逆に大歓迎を受け、偉業を称えられ名誉市民にまでなったのだ。そして格好悪いことに、そのアメリカの反応を知った日本の新聞は反応を変え、今度は好意的な論調になったという。  堀江氏は成功し、アメリカでの評価を輸入するように、日本でも評価された。失敗していたらどうなっていたか。今度は金子健太郎という青年を例に論じられる。金子氏は堀江氏が出発する3か月前に、ヨットではなくドラム缶を使ったお手製のイカダで太平洋横断に出発している。だが、途中で海上保安庁に見つかり、出入国管理令違反として収容所に入れられて終わった。本多曰く、成功していたら、ヨットではない分、さらに大きなニュースになっていたはずだし、成功する余地のあるイカダだった。  金子氏の横断は失敗に終わったが、遭難して挫折したわけではない。役人に捕まったのだ。日本において冒険家であろうとするなら、アウトサイダーに徹しなければならない。  本多は金子氏にインタビューをしている。金子氏は6~7年をかけて計画を練り、金を貯めていた。海上保安庁に捕まり、巡視船に曳航された際は自殺を考えたという。Wikipedia にも残っていない彼の壮挙と人物像を伝える唯一といっていい記帳な記録である。(本書には2度目の出航(失敗に終わる)の後の金子氏へのインタビューも含まれる)  冒険が成功すると堀江氏のようになり、失敗すると金子氏のようになる。そして、最初の冒険者により達成可能なことが証明されると、太平洋横断も無謀なものではなくなり、出国許可もなんら問題なくおりるようになるのだ。日本においては失敗の可能性が許されず、絶対の安全が求められている。この原因を本多は官僚的合理主義に求めている。  官僚的合理主義が支配する社会構造が忌むのがトライアル、賭けの要素である。本稿は、冒険をする人々(未知に賭けるような人々)は手錠をはめられて生きねばならない日本は今後どうなるのかといった問いかけで終わる。  現在(2024年)においても日本人の冒険嫌いは脈々と続いている気がする。特に、税金を投入するものには、何につけても費用対効果と分かりやすい還元策を求められている。  私自身冒険心がある方ではないのだけど、冒険をする人たちには一定の敬意を払い、つまらない理由で足を引っ張らないように意識しようと思った。  なんかつまらない感想しか書けず、自分でも驚いている。

Posted by ブクログ

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