地の漂流者たち 文春文庫

沢木耕太郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 文藝春秋
• 発売年月日: 1979/11/09
• JAN: 9784167209032

商品レビュー

2010/05/28

　青春三部作の一つ。…

[文庫ＯＦＦ]

　青春三部作の一つ。他の2編は「若き実力者たち」、「敗れざる者たち」である。後者は、レビューにも書いたので、興味のある方はチェックしてください。1970年代のルポルタージュなので内容的には、いささか古いが、この年代の若者がそれぞれの分野でどんな考え方で生きがいを模索していたのか、ということを視点に、青春物語として読むのも面白い。「防人のブルース」は自衛隊の若者を、以下同じように、この寂しき求道者の群れ=アングラ演劇、性の戦士=ピンク映画、いま、歌はあるか=演歌、単独復帰者の悲哀=沖縄、灰色砂漠の漂流者たち

2010/05/28

『若き実力者たち』『…

[文庫ＯＦＦ]

『若き実力者たち』『敗れざる者たち』と並ぶ青春三部作である。他の２書は『割と広く知られている人物』がテーマだが、本書は７０年代の若者そのものを多く描いていると思う。本書にアングラ演劇を題材にしたルポが登場するが、奇しくも私が本書を読んでいる間に某アングラ演劇の第一人者が脚本・監督・主役をこなす映画の予告編を観る機会があった。『あ～、彼もアングラでは生きていけなくなったのかなぁ～。それとも、一般人が彼を【変わり者】ではなく【芸術家】として認めた結果なのかなぁ～』とフト考えた。７０年代

2020/09/13

作者の最初の作品を含む6篇のルポルタージュ集。沢木耕太郎の原点を知るためには必読の書だと思った。今まで読んでいなかったのが不思議に思うぐらい。初読。読めてよかった。非常に社会派としてスタートしたことがわかる。大卒して1,2年の頃だが、このようなルポを書くことは危険も伴うだろう。捨て身と言ったら失礼だろうが、どんな階層にも偏見を持たずに飛び込む行動力には脱帽する。特に最後の、川崎を舞台にした中高卒労働者の葛藤については、非常に興味深く、現代の大卒者も含む労働者状況にも通ずるものを感じた。