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白馬の王子 ハヤカワ文庫
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白馬の王子 ハヤカワ文庫

タニス・リー(著者), 井辻朱美(訳者)

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白馬の王子 ハヤカワ文庫

定価 ¥363

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 1983/01/31
JAN 9784150200480

白馬の王子

¥275

商品レビュー

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2023/03/11
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※このレビューにはネタバレを含みます

自分は一体なにを読まされているのだろうという、混乱と戸惑いのままに読了しました。他のタニス・リー作品とは違った世界です。 ナンセンス・ファンタジー作品とでも言えばいいのでしょうか。美形キャラクターが複数出てくるあたり安定のタニス・リーでもありますが、なんとなく抽象的でフワッとした邦題『白馬の王子』まんまの観念的な内容だと思います。 現実で人生に絶望しきってた主人公が「選ばれし救世主の王子様」として謎のファンタジー世界に転生してくる。まさに今日本で流行中の異世界転生物とも言えますが、こちらの「勇者」はまったく無双しません。チートスキルもゼロ。というか、最後の最後まで、ただ無力に流されてナンセンスにくるくる回っている。 竜退治の魔剣はボキボキ折れまくるなまくら刀だし、白馬は時々ライオンに変わって人間の言葉をしゃべっては「馬はしゃべれません」とのたまう。 一応ストーリーは前進しているのです。でも、それぞれの出来事はただダンゴのようにつながってるだけなので、さながら洗濯機の中の洗濯物。活発に動いてるようで何処にも行けない。 素人でもこんな夢日記みたいなファンタジーは書かないのにどうしたタニス・リーとドキドキしながら読んでいたら、終盤にきてこんなセリフが。 「でもぼくはーーつまり、その半分くらいは、ばかばかしいまちがいや偶然にすくわれるか、だれかが何かをすることによって切りぬけてきたんですーーぼくがやったんじゃない」 「そんなことはどうでもいいのです」とセモン。「それはあなたの影響力なんですからーーあなたがそこにおられたことのね。ものごとがこうなったのはそのためですよ」p. 170 そしてこれ。 王子は、人を救うことは高貴で神聖なことだと思っていたのだが、そうではなかったのだ。それは集団で歌をがなったり、リング・ア・リング・ア・ローゼスを踊ったり、かけっこをしたり、クイズを出したり、まったくばからしいとしか思えない質問(と王子には思えた)をしあったりすることだったのだ。王子はその騒ぎに辟易していたが、確かに人々は元気づけられ、あたりは明るくなってきた。p. 180 つまり絶望というやっかいな精神状態と闘うのに必要なのは悲壮感ただよう決意や努力や崇高な目的などではなくて、気の合う人たちと無意味で他愛ない時間をすごすことだった。それを知るために主人公はこの謎のファンタジー世界でただひたすら存在し、ただひたすら流されていたんですね。意味が分かってホッとしました。 そもそも、こういう、何かと意味を欲してしまうような、ナンセンスには耐えきれないような、とにかくなんでもかんでも「分かっておきたい」精神状態こそ「絶望感=ヌルグレイブ」の温床なわけで、その点、さんざん無意味なストーリーで読者を振りまわしておくこの構造はメタ的だと言えます。頭のマッサージチェアかもしれません。 ドングリが頭上に落ちて死んだ主人公の夢物語、この設定が最後に分かるのですが、このバカバカしさにもまた「まー力を抜いてこうや」と思いやり深く肩を叩かれたような気がします。

Posted by ブクログ

2016/10/12

「ヌルグレイヴ」なる邪悪な存在を、王子が倒しにゆく物語...だと読者の目には(登場人物たちにも)明らかなのに、王子はゴタついて全くやる気なし。予定調和に助けられて(?)危機をくぐり抜け、当人の意に反して決戦へと駆り立てられてゆく姿が、哀れっぽい同情を誘います。 しかし、嫌々だっ...

「ヌルグレイヴ」なる邪悪な存在を、王子が倒しにゆく物語...だと読者の目には(登場人物たちにも)明らかなのに、王子はゴタついて全くやる気なし。予定調和に助けられて(?)危機をくぐり抜け、当人の意に反して決戦へと駆り立てられてゆく姿が、哀れっぽい同情を誘います。 しかし、嫌々だったはずの最終局面で物語が急加速。王子の秘密が明かされ、「よろこばしいと同時にすこしかなしい」(訳者あとがきより)王道ファンタジー風の堂々たる大団円となります。 3つの月がのぼる、この世界は一体何なのか。 ナンセンスなような馬の言葉も、深読みができそうな...。 幻想の深みを一瞬覗いたような、不思議な読後感でした。

Posted by ブクログ

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