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物部氏の伝承 講談社学術文庫1865
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物部氏の伝承 講談社学術文庫1865

畑井弘【著】

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物部氏の伝承 講談社学術文庫1865

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2008/03/10
JAN 9784061598652

物部氏の伝承

¥605

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2012/05/12

物部氏の系譜伝承は、“古代朝鮮語”で解明できるニダ!? 中世史家の著者による語呂合わせ解釈が行われます。 こういうのって在野の研究家がおちいりやすいのですが、プロの史学者もやっちゃったかという貴重なトンデモ本です。この手の本にはじめて触れる方でも、「守屋とは没落を意味する語だ」...

物部氏の系譜伝承は、“古代朝鮮語”で解明できるニダ!? 中世史家の著者による語呂合わせ解釈が行われます。 こういうのって在野の研究家がおちいりやすいのですが、プロの史学者もやっちゃったかという貴重なトンデモ本です。この手の本にはじめて触れる方でも、「守屋とは没落を意味する語だ」なんて書かれているあたりで、何かおかしいなと思われることでしょう。 古代の朝鮮語については、古事記や万葉集を持つ日本語と違って、あまり明らかになっていません。そのよくわからない古代朝鮮語とどう関連付けているかについては、189ページに、次のような衝撃的な文があります。 「私は早速、宋枝学編『朝鮮語小辞典』という初心者向きのポケット判の辞書を買ってきた。もちろん、私は朝鮮語を全く知らない」 初心者向けのポケット辞書… つまり、「現代の」朝鮮語の辞書を使って、「古代の」日本史料を読み解こうとしているわけです。 このあたりに問題がある点、畑井氏自身も、 「現代の朝鮮語から古代朝鮮語をどこまで類推できるのか、不安に思いながらも、発音記号を頼りに、さしずめ参考になりそうな単語に赤線を引く作業を始めた」 とか、 「この本のなかで、私が朝鮮語を引用していても、楽屋話をすると、実はこの程度のお粗末さであることを、ここで正直に告白しておこう」 といっておられます。まったく、ひどい話です。 言語学を学んだことは、それまでなかったそうで、こういった朝鮮語による解釈法が「大筋において間違っていない、という確信を覚えるようになっ」たのは、「夏休みをほとんどつぶした」ほどの期間しか使わなかったとか。大学の先生の夏休みがどれだけあるのか知りませんが、ずいぶん短期間の、浅い学習で確信に至ったものだとあきれます。長年研鑽を積んでいる言語学者たちに、失礼だとは思わないのでしょうか。 なお、畑井氏には、『古代倭王朝論』という著書もあり、そのあとがきで次のようにいってます。 「一時、記・紀・万葉のすべてを朝鮮語で読むことができるのだと主張する、かなり無責任な読み本が流布したせいもあって、それらと同類の語呂あわせの説と早合点されてしまうこともあろうかと思います。 (中略) 徒に語呂あわせ論を振り回したり、語彙のみの統計学的比較を論拠に、記・紀・万葉における朝鮮語の問題を真面目に研究している……そのつもりでいます……私どもの考えを、シニカルに押し退けないで頂きたい、と思います。」 「真面目に研究している」かどうかでいえば、朴炳植氏も李寧熙氏もふざけて語呂合わせしているわけではないでしょう。 読者は、「そのつもりでいます」などという著者の中だけの気持ちにまったく興味はありません。求めているのは、明確な基準です。 どこからどこまでが朝鮮語由来なのか、拠るべき基準を示さずして、恣意的に、持っていきたい結論に都合の良い解釈だけをすることが、ゆるされていいのでしょうか。 西端幸雄氏の『古代朝鮮語で日本の古典は読めるか』や、 安本美典氏の『新・朝鮮語で万葉集は解読できない』などを、 あらかじめ読んでおくことをおすすめします。 本書は、吉川弘文館、三一書房によってハードカバー単行本になり、この学術文庫で文庫化されました。 『物部氏の伝承』という、いかにも初学者を引き付けそうな書名と、文庫という入手のしやすさで、トンデモ解釈が広がってしまうことを恐れます。 物部氏に関しては、他の論文をいくつか読んだ後に、視野を広げる意味で本書にも目を通すのがいいでしょう。

Posted by ブクログ

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