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宰相 吉田茂 中公クラシックス
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2006/11/10 |
JAN | 9784121600936 |
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宰相 吉田茂
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商品レビュー
4.1
10件のお客様レビュー
高坂正堯 「宰相 吉田茂」 戦争で負けた後に 経済で勝った 吉田茂の政治姿勢、外交手腕、戦後復興の在り方を論述した本。 吉田茂の民主主義の考え方〜世論とナショナリズムを拒否し、民主主義を 政治のルールと考え そのルールを守る〜が 戦後復興を進めた とする論調 著者の言葉「こ...
高坂正堯 「宰相 吉田茂」 戦争で負けた後に 経済で勝った 吉田茂の政治姿勢、外交手腕、戦後復興の在り方を論述した本。 吉田茂の民主主義の考え方〜世論とナショナリズムを拒否し、民主主義を 政治のルールと考え そのルールを守る〜が 戦後復興を進めた とする論調 著者の言葉「これから 我々が生きていくのは、ナショナリズム と インターナショナリズム と 個人主義の絡み合った複雑な世界」は現在にも通じる至言 吉田茂の凄さは 「 戦争で負けても 外交で勝った」外交手腕 *外交とは 条約の権力を活用して 国家利益を追求するゲーム *軍事力は 肯定も否定もせず、二次的な地位しか与えない *経済的な力と国家的利益の立場で国際政治を考えていた *国際関係において最も重要なのは その国が富み栄えていること *日本は経済関係の網の目を張り巡らすことが立国の基本〜国際政治において軍事力は二次的
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「真実の教養とは、それまでの生活で得たものに自信を持つが故に、新しい状況などには驚かず、『新知識』に劣等感を持たず、堂々と自己の生き方を貫く能力に他ならないのである」(264頁) 返却期限が迫っていなければ、もう一周読みたかった。そうすればもっと理解できただろうなぁ、と思う。
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※このレビューにはネタバレを含みます
吉田茂にとって、米ソの協調が破れ、対立関係が発生したことは、その両者の間に介在する日本の価値が増大したことを意味した。それは敗戦国日本にとって乗ずべき機会であった。(p.54) 現実に可能か不可能かを一応離れて理想を探求し、発言するという知識人の倫理と激突することになった。 それは悲劇であった。しかし、この二つの倫理のあるべき関係は、つねに衝突しながらたかめ合って行くものなのだ。(p.56) 吉田は完全非武装論と憲法改正論の両方からの攻撃に耐え、論理的には曖昧な立場を断固として貫くことによって、経済中心主義というユニークな生き方を根付かせたのである。(中略)国民の多くは、日々の生活を維持する努力から、彼らの戦後を作って行った。そして、大きく変化した国際政治は、戦前の夢をいかにもこっけいに見せたから、彼らは日本の未来を経済復興に、そして貿易に求めたのである。(p.71-72) 国民は政治家を評価するに当って、いちいちその政策を専門的に分析したりなどはしない。多くの場合、制作はあまりにも専門的で、そしてあまりにも難しい。だから国民は彼の感覚に頼る。それはきわめて基本的な美徳を政治家が持っているかどうか、ということから判断するのである。そしてその政治家がまじめであるのかどうかは、その評価においてきわめて重要な項目なのである。(p.140) (池田勇人は)時刻の防衛をかなりの程度まで他国に依存するという体制でよいのか、という問題には答えられないままであった。そして、この防衛の問題は、国内体制の問題、すなわち日本には危機に対処するだけの権力構造が存在するかという問題と、不可分の関係にあった。対外的な危機に対処する能力はそのまま国内の問題を解決し、危機を切り抜ける力だからである。(p.147) 公共部門における優先順位の決定は価値判断と切り離すことはできない。たとえば、教育をいかにするか、研究体制をいかにするかということは、日本の将来を決する重要な問題であるが、その問題は価値の問題と不可分に結びついている。(p.213) おびただしい量の涙が流され、得体の知れぬ不安と怒りがかき立てられるのに、それとはまったく不釣合に、結果らしい結果は得られない。それは日本の新聞の基本的な特徴である。そして、人々が漠然と感じている新聞への不安の根源はここにあるのだ。(p.227) 彼は国際政治において、経済のつながりの持つ意味をきわめて重視した。彼は、一国の外交は軍事力によって自国の利益を守ったり、自己の意思を他国に押しつけたりすることではなく、経済の相互利益の網の目を作り上げ、それを操作することによって、時刻の利益を守ることにあるという認識を持っていた。彼は「外交と金融とはその性質を同じうする。いずれもクレディット(信用)を基礎とする」という言葉が好きだった。(中略)経済を重要視する外交は、経済以外の分野に対する認識をともなって初めて成立するのである。(p.253,259) 今後ナショナリズムに精神的な価値を与えないことこそ、われわれのもっとも必要とすることなのである。いったんナショナリズムを崇高化すれば、それは絶対のものとなり、それ自身が目的となり、したがって妥協不可能なものとなってしまう。それにもかかわらず、ナショナリズムがその根底に非合理的なものを持っていることは否定しえないのである。(p.261) 人間とは簡単に変るものではない。実は社会だってそんなに変るものではないのだ。「先日、イリア・エェレンブルグというロシアの文学者が、第一次世界大戦中に書いたという詩を読んだ所が、それには、戦争中のことを後世のものは、人々が砲声と弾丸の雨に怯えて位生活をしていたと思うだろうが、戦争中にもやはり花が咲き、人々はそれを見て喜びを覚えたのだ、というような意味のことが書いてあった。歴史上の大事件と言ったものは、皆そういうものではないだろうか(『改造』昭和25年1月号)」(p.266)
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