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傷ついた葦 中公文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論社 |
発売年月日 | 1974/05/10 |
JAN | 9784122000995 |
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傷ついた葦
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商品レビュー
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2件のお客様レビュー
とても良い本だったと記憶しているが、本屋で見かけないので寂しいと思う。 この本で描かれている、神父の葛藤は、人間にとって、とても普遍性のある葛藤ではないかと思う。根拠を説明できるほどではないが、そう感じた。 田舎の教会に忘れられたように取り残される怖さと、老いの怖さと、何年(何十...
とても良い本だったと記憶しているが、本屋で見かけないので寂しいと思う。 この本で描かれている、神父の葛藤は、人間にとって、とても普遍性のある葛藤ではないかと思う。根拠を説明できるほどではないが、そう感じた。 田舎の教会に忘れられたように取り残される怖さと、老いの怖さと、何年(何十年だったか)、神父としての仕事を務めても、教会に通う人は同じ間違いを犯し、同じ質問を繰り返し、救われない他者と救えない自分を認識する。仕事の誇りは、年月のうちに、風かなにかに削り取られるように、なくなっていく。そのようななかで、神父は自問自答を繰り返す。そのような内容の本だったと記憶している。 自分がこの神父の友達ならば、神父を辞め好きなように生きる事を強く勧めるが、宗教的な慣習にほとんど無縁で生きてきたからそう思うのだろうか。 私は、この神父は、宗教の犠牲者だと感じてしまう。しかし、神父を犠牲者だと表すならば、現代に生きる多種多様な人間も、生まれた地域や、かかわった家族や文化の、いろいろな慣習やタブーに振り回されて何らかの形で犠牲者になっているといえるだろう。犠牲者であることがアイデンティティーとなってしまっても、逆にむしろそこに生きる意味や救いを見出せといいたいのだろうか。神父本人は犠牲者とは思ってはいないのか。
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程度の差はあるが、どの人も決して「元気いっぱい」とか「順風満帆」ではない。 中には人道的に問題がある人物もいて、不健康だが悪意はないし真っ当そうに暮らしている。 その一方で、そんな人間に囚われて抑圧的に生きている人もいる。 なんだか、いびつ。 世の中は、千字積めればこんなもので...
程度の差はあるが、どの人も決して「元気いっぱい」とか「順風満帆」ではない。 中には人道的に問題がある人物もいて、不健康だが悪意はないし真っ当そうに暮らしている。 その一方で、そんな人間に囚われて抑圧的に生きている人もいる。 なんだか、いびつ。 世の中は、千字積めればこんなもので、傷ついた葦や弱った葦が、風にそよいでいるのか。 傷み具合、弱り具合、意識的か無意識的かの違いはあれど、みんなどこかいびつなのか。 独善的で、浅はかで、それ故に憎みきれない人間たち。 教会の神父とて、迷い多く邪念に囚われた人の子。 所詮、つまらないことばかり考えてしまう人間。 けれども、その考えるという力で、人間は何かに気づき、変わっていける。 だから、ちょっとはマシになれる。
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