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地獄の思想 中公新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 1967/06/25 |
JAN | 9784121001344 |
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地獄の思想
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商品レビュー
3.8
6件のお客様レビュー
梅原猛のデビュー作に「地獄の思想」というタイトルが付けられているのが象徴的だ。 彼は死ぬまで「地獄の思想」を凝視し続けた思想家だったと言えるのだ。 宗教にも思想にも明と暗の二面性がある。 片方だけでは片手落ちだ。 明の宗教や思想は美しくても深みに欠ける。 宗教や思想に付き纏う暗...
梅原猛のデビュー作に「地獄の思想」というタイトルが付けられているのが象徴的だ。 彼は死ぬまで「地獄の思想」を凝視し続けた思想家だったと言えるのだ。 宗教にも思想にも明と暗の二面性がある。 片方だけでは片手落ちだ。 明の宗教や思想は美しくても深みに欠ける。 宗教や思想に付き纏う暗部を梅原は「地獄の思想」と呼ぶ。 人類の歴史は不幸と悲惨と苦悩に満ち満ちている。 地獄を見つめることは、人間の苦悩と悲惨から眼を逸らさないことだ。 だから闇を見据えた「地獄の思想」は思想としての深みが増し、悲惨の淵にいる人々の心に届くことになるのだ。 本書で取り上げられる地獄の思想家(地獄を凝視し続けた思想家)は、以下の通りだ。 源信 親鸞 紫式部 世阿弥 近松門左衛門 宮沢賢治 太宰治 このデビュー作で語られた親鸞についてはその後何度も、様々な角度から語られる。 93歳で書いた最後の作が「親鸞四つの謎を解く」であったというのも梅原らしい。 デビュー作「地獄の思想」において、地獄を見続け、地獄からの救済を求めた親鸞を語ったのを始まりに、死の直前にまた親鸞に戻って、親鸞の謎を解いて死んでいったのだから。 地獄を見つめる勇気が現世を生きる力を与えてくれる。 日本人が無条件で聖人として信奉してきた聖徳太子にも、地獄の思想を見た梅原猛だからそこ、須く地獄の思想家には敏感なのだ。 梅原は柿本人麿にも、人麿のライバル山部赤人にも、地獄の思想を見出していく。 その二人をフィーチャーして「万葉集」を編んだ大伴家持も勿論、地獄の思想家だ。 地獄の思想家は地獄の思想家を見抜くのだ。 仏教由来と思われる地獄の思想を日本の思想に探っていくと、あれよあれよという間に、平安、飛鳥時代を通り越して、縄文時代にまで突き進まざるを得なくなる。 縄文の発見、縄文の「地獄の思想」の発見は梅原猛の重要な功績だ。 地獄の思想は、仏教伝来に遥かに遡って存在していたのだ。 梅原は縄文への新たな視点を投げかけてくれ、日本人の思想の源流に潜む「地獄の思想」を明らかにしてみせた。 日本文学の中に底流のように流れる民話、浄瑠璃、能、歌舞伎にはたっぷりと「地獄の思想」が込められていることを本書は教えてくれる。 後に梅原は、文学における「地獄の思想」復権のために、自ら歌舞伎の脚本まで書き、スーパー歌舞伎というジャンルまで作り出している。 梅原の地獄の思想の探求に終わりはないのだ。 それだけ地獄の思想家が日本史の中にはゴロゴロいるということだ。 最澄と空海、法然、円空、写楽、三岸節子。。。 そして、極め付けは梅原猛自身。 梅原の著作は全て「地獄の思想」シリーズだったことが分かる。 その原点がここにある。
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2016年8月30日読了。日本の仏教や、源氏物語から太宰治までの主要な日本文学に読み取れる「地獄の思想」について語る本。インド・中国より伝わった仏教が日本のスーパースター・法然や親鸞などの個性でより奥行きのあるものに変化し、その深さが文学にも表れている、とする議論はなかなか面白い...
2016年8月30日読了。日本の仏教や、源氏物語から太宰治までの主要な日本文学に読み取れる「地獄の思想」について語る本。インド・中国より伝わった仏教が日本のスーパースター・法然や親鸞などの個性でより奥行きのあるものに変化し、その深さが文学にも表れている、とする議論はなかなか面白い。ただ、前半の仏教の変遷に関する分析はすんなり読めるが、後半の能や文学への言及は著者の思い入れ過剰に感じられ、やや眉唾な印象を受ける…。「天国の思想」では本が作れる気がしないけど、「地獄・死」に関してはこれだけ語る内容があるというのは面白い。
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源氏物語、平家物語、世阿弥、近松門左衛門、宮沢賢治の作品から地獄の思想を読み説くのが本書の内容なのですが、僕はそういうのを求めていたわけじゃないので、ちょっとがっかりでした。 『地獄の思想』というタイトルから、地獄の体系と歴史が書いてあると思っていたのですが、どうもそれらは末節の...
源氏物語、平家物語、世阿弥、近松門左衛門、宮沢賢治の作品から地獄の思想を読み説くのが本書の内容なのですが、僕はそういうのを求めていたわけじゃないので、ちょっとがっかりでした。 『地獄の思想』というタイトルから、地獄の体系と歴史が書いてあると思っていたのですが、どうもそれらは末節のようです。 生の中に地獄あり。愛欲、人情、義理に見る個々人の葛藤こそが地獄であり、死によって罪を贖い、来世に希望を託すのは、まさに仏教思想の真髄ですが、『割りとキリスト教と似てるんじゃね?』と、表面的には現世が辛く、死後報われる世界観という共通点があります(大雑把に言えば)。 宮沢賢治の修羅の世界(食う・食われるの連鎖関係から離れたいという気持ち)など、んーなるほどなぁと唸る部分もありますが、全体的には何か物足りない感じを受けました。生きながらの地獄を見てきましたが、どこか他人事で、人によって人生が天国だったり地獄だったり、色々あるなぁ~と改めて思いました。 僕の評価はAにします。
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