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長野まゆみ 三日月少年の作り方 KAWADE夢ムック
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2002/12/04 |
JAN | 9784309976402 |
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長野まゆみ 三日月少年の作り方
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商品レビュー
3.8
5件のお客様レビュー
「対談長野まゆみ×笙野頼子」を目当てに読んだ。色々と得るものがあった。社会から押し付けられる女の在り方に違和感を抱く女性作家として、ふたりに共通点があったことに新鮮な驚きを感じた。笙野頼子はともかく、これまで長野まゆみをそんな風に読んだことはなかったので収穫だった。 今となって...
「対談長野まゆみ×笙野頼子」を目当てに読んだ。色々と得るものがあった。社会から押し付けられる女の在り方に違和感を抱く女性作家として、ふたりに共通点があったことに新鮮な驚きを感じた。笙野頼子はともかく、これまで長野まゆみをそんな風に読んだことはなかったので収穫だった。 今となっては『新世界』シリーズなど、モロに女性学的なモチーフだと思えるんだけど、当時は単純に「美少年しか出てこない小説」として読んでいたのであまり気にならなかった。美少年しか出てこない小説って何なんだよ?!という話だが、それはそうとしか言いようがない。 どうも長野まゆみ先生は一緒にされたくないようだが、読者としては完全に『風と木の詩』と同じ枠で楽しませてもらっていた。ただ、昨今繁栄するBLとはまったく違う、独特な世界ではあった。宮沢賢治『銀河鉄道の夜』が近いだろうか。ジョバンニとカンパネルラの友情はBLではないが、普通の友情にしては親密で精神性が高く、またその世界観も硬質で詩的で、ちょっと別世界のような趣がある。長野まゆみ作品に求めたのも同じ世界だった。 で、このムックの長野まゆみのインタビューを読んではじめて『少年アリス』が「少女」ではない少女という意味だった事に気づいてしまった。あれは少女のように美しい少年じゃなかったのだ。男じゃなかった。かなり語弊はあるかもしれないが、女だったのだ……。 多くのフィクションに描かれる「少女」は成人男性に都合の良いロリータという妄想だ。現実に生きる少女にとっては「それ、どこの誰だよ?見たことねぇわ」と笑えるくらい嘘くさい。なのにその先入観で男が寄ってくるから、不快かつ害悪ですらある。 長野まゆみの描く「少年」とは、そうしたロリータ妄想という呪い、もしくは苦役、もしくは気色の悪い肉襦袢(笙野頼子宇宙であれば火星人少女遊郭のスーツだな)から解放された少女たちの純粋な魂そのものだったんじゃないか。もっと簡単に言えば、男への奉仕を拒否した女。 「長野まゆみ的少年」には肉体がないから、永遠に大人にはならない。つまり、ロリータを愛玩し性的に所有する「成人男性」にはならない。そして、男たちの性欲のために提供される「女体」にもならない。 あらためて考えてみると、少年は少女と違って、性的客体として消費されず、大人になるまでは純粋に子どもでいられる存在だと言える。誰も少年に性的な「男」を求めない。そもそも名前からして「少男」ではない。 一方、生まれた瞬間から「女」である「少女」は当たり前のように性的消費材だ。男に奉仕するよう求められる。幼児期ですら「幼女」などという、薄気味悪い名前で呼ばれて消費されてしまう。その悪夢から逃れるためには、もう「女」の肉体を捨てるしかない。そして、男でなく女でもない存在、つまり「少年」になるしかない。 そうなってしか得られない自由がある、という事を長野まゆみは知っている。それは思春期の少女たちにとっても、非常に切実な感覚なのだが、歳を取ると社会に巻き込まれて、いつの間にか忘れてしまう。 だから、その感覚をずっと保ち続けている長野まゆみはある意味で驚異だと思った。そこがやっぱり才能だし唯一無二なんだろう。笙野頼子からその辺りを鋭く突っ込まれても、まるで思春期の少女のごとく頑なに拒否していた。他人からどう見られようとも、いくつになろうとも、彼女自身の魂が「長野まゆみワールド的少年」なのだなと思った。 自分などはもう長野まゆみワールドが分からなくなってしまった人間だ。かつてはあんなに輝いていた「少年」たちが、今では小生意気な青瓢箪としか思えない。永遠に若く純粋でありたいとは思わないので、これも自己の成長なりと思う。少女小説を本当の意味で読めるのは少女だけなので何も不思議はなく、また、外野がどう感じようと作品の価値には何の関係もない事は言うまでもない。 かつて夢中になって読んだ、作品社の小冊子『天体会議』シリーズを思い出す。ジョセフ・コーネルの作品が掲載された『夜間飛行』も思い出す。かっこよかったなぁ。素敵だったなぁ。もしかしたら、この先、新たな気持ちで読める日も来るのだろうか?婆様になったら視点も変わるか?またいつか挑戦してみようか。そんな気持ちにさせてもらったムックであった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
長野まゆみにどっぷりはまっとったころに買ったまま10年くらい積ん読やったのを引っ張り出してきて読んだ。初期の作品は今読んでも素敵やと思うと思うけども、同性愛色が強くなってきてからのはどうかな…「猫道楽」とか「よろず春夏冬中」とかどうかな…持っとるし当時は面白いと思ったんやけどなあ。 逆に、当時ぜんぜん面白いと思わんかった水迷宮とかは面白いと思うかもしれん。また読み返さねば。当時も一気に読み過ぎて話がごちゃまぜになっとる。 初めて読んだ長野作品は「天然理科少年」やけども、長野作品の中では異色な作品やったんやな。 笙野頼子との組み合わせは素晴らしいと思います。
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長野まゆみさんのインタビュー、対談、イラストギャラリー、2002年までの全著作レビューが詰まった1冊。 作者側の作品の見解等が興味深い。 著作レビューは今まで読んだ作品を思い返したり、再度読見直す切っ掛けになったり。 これから長野作品を読みたい方には次に選ぶ物語の標にもなるだろう...
長野まゆみさんのインタビュー、対談、イラストギャラリー、2002年までの全著作レビューが詰まった1冊。 作者側の作品の見解等が興味深い。 著作レビューは今まで読んだ作品を思い返したり、再度読見直す切っ掛けになったり。 これから長野作品を読みたい方には次に選ぶ物語の標にもなるだろう。
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