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文化としてのシンフォニー(2) 19世紀中頃から世紀末まで
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 平凡社 |
発売年月日 | 2008/02/20 |
JAN | 9784582219654 |
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文化としてのシンフォニー(2)
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文化としてのシンフォニー(2)
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文化としてのシンフォニーの歴史をたどる大著の第2部。第1巻はシンフォニーの発生とそれがベートーヴェンにおいてドイツ音楽の頂点とみなされることで、その後の世代にシンフォニー作曲の難題を突き付けることになるまでが描かれ、メンデルスゾーンとシューマンまで言及が進んでいた。 第2巻は...
文化としてのシンフォニーの歴史をたどる大著の第2部。第1巻はシンフォニーの発生とそれがベートーヴェンにおいてドイツ音楽の頂点とみなされることで、その後の世代にシンフォニー作曲の難題を突き付けることになるまでが描かれ、メンデルスゾーンとシューマンまで言及が進んでいた。 第2巻は19世紀、とりわけ後半が対象となる。まずはベルリオーズが登場。彼においてすでにシンフォニーへの標題音楽の導入という予兆が示される。宮廷オペラを仮想敵として、市民のコンサート・ホールの花形として発展したシンフォニーの敵は本巻において交響詩にとってかわるのである。 その背景にある政治。ヴァーグナーとリストに代表される「新ドイツ派」とそれに対する守旧的勢力、著者がとりあえず「旧ドイツ派」と呼ぶ勢力の相克がこの世紀を動かす。「新ドイツ派」、とりわけヴァーグナーはもはやシンフォニーは楽劇に発展解消されるとしたが、管弦楽曲の分野ではリストによって交響詩なるジャンルが確立する。ただ、交響詩の創始はどうやらフランクであるとか、リストの交響詩にしてからが世間に理解されているほど物語に沿っているわけではないとか、興味深い観点もある。それから、「新ドイツ派」で成功したのはルートヴィヒII世の後ろ盾を得られたヴァーグナーだけで、彼にかぶれた人間も「旧ドイツ派」的美学のもと、楽譜が出版され、コンサート・ホールで演奏され、守旧的美学のもとで教職に就かなければ生活できず、次々に脱落していく。そうした作曲家たちはやはり最高の形式としてのシンフォニーに挑戦するしかない。他方、「旧ドイツ派」が交響詩的音楽に取り組む場合はえてして、序曲《リチャードIII世》などというタイトルを付けた。 著者の見解ではドイツ・シンフォニーの精華はブルックナーとブラームスであるが、この文化が周辺に広がり、各国のナショナリズムと結びつくとき、ナショナル・シンフォニーが成立した。ここでは敵であるはずの交響詩もシンフォニーと同様に受容され、その境界ははなはだ曖昧となっていき、また、交響詩を書くのが「新ドイツ派」、シンフォニーを書くのが「旧ドイツ派」といったドイツでは成立しえたマニフェストが機能しなくなる。 他方、普仏戦争で反ドイツ的機運の高いフランスでは、シンフォニーを書くか書かないか、あるいはいかにドイツ精神を換骨奪胎してフランス・シンフォニーを書き上げるかが課題となった。 かくて、1890年前後、シンフォニーは7曲の最高の成果を生み出す。ブルックナーのハ短調と二短調(未完)、ブラームスのホ短調、サン−サーンスのハ短調、チャイコフスキイのロ短調、ドヴォルジャークのホ短調、フランクのニ短調。 シンフォニー文化が爛熟を極めるなか、五部の交響詩《巨人》を整理して、シンフォニー第1番と名付けるほかなかったマーラーにとって、シンフォニーとはもはやそうとでも呼ぶしかないものとなっていた。これは評者が以前からシンフォニーの定義を「そのように呼ばれたもの」とするほかないと考えていた、それと同じ境地である。本書は文化としてのシンフォニーを追っていくものなので、シンフォニーを書かずに交響詩を書いた作曲家にも多くの記述が割かれているが、マーラーとともに、その同時代人にして交響詩(彼の場合、本当は「音詩」なのだが)の大家リヒャルト・シュトラウスが第2巻の取りをとることになる。 名前すら知らなかった、あるいは名前しか知らなかった多くの作曲家を本書で知り、実際、CDでも聴いてみたが、その収穫は(もはや詳述する紙幅はないが)フェリックス・ドレーゼケ、アスガール・ハメリク、ヴィクトール・ベンディックスであることにも触れておく。 シンフォニーの混沌たる20世紀を記述する第3巻には手を焼いているのか、2016年現在、未刊行である。
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