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牛肉と馬鈴薯・酒中日記 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2005/12/01 |
JAN | 9784101035024 |
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牛肉と馬鈴薯・酒中日記
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商品レビュー
4.1
15件のお客様レビュー
⚫︎感想 「牛肉と馬鈴薯」 思想短編。経済の奴隷にも労働の奴隷にもなりたくはない。そういう二者択一の「習慣(カストム)の眼」から逃れて、「驚き」をもって屹立したいという主義を述べたもの。 「即ち僕の願はどうにかしてこの霜を叩き落さんことであります。どうにかしてこの古び果てた習慣...
⚫︎感想 「牛肉と馬鈴薯」 思想短編。経済の奴隷にも労働の奴隷にもなりたくはない。そういう二者択一の「習慣(カストム)の眼」から逃れて、「驚き」をもって屹立したいという主義を述べたもの。 「即ち僕の願はどうにかしてこの霜を叩き落さんことであります。どうにかしてこの古び果てた習慣の圧力から脱がれて、驚異の念を以てこの宇宙に俯仰介立したいのです。その結果がビフテキ主義となろうが、馬鈴薯主義となろうが、将た厭世の徒となってこの生命を咀うが、決して頓着しない!」 「ヤレ月の光が美だとか花の夕が何だとか、星の夜は何だとか、要するに滔々たる詩人の文字は、あれは道楽です。彼等は決して本物を見てはいない、まぼろしを見ているのです、習慣の眼が作るところのまぼろしを見ているに過ぎません。感情の遊戯です。」 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) 「近代的短編小説の創始者」独歩の中・後期の名作を収録。 理想と現実との相剋を超えようとした独歩が人生観を披瀝する思想小説『牛肉と馬鈴薯』、酒乱男の日記の形で人間孤独の哀愁を究明した『酒中日記』、生き生きとした描写力を漱石がたたえた『巡査』、ほかに『死』『富岡先生』『少年の悲哀』『空知川の岸辺』『運命論者』『春の鳥』『岡本の手帳』『号外』『疲労』『窮死』『渚』『竹の木戸』『二老人』。詳細な注解を付す。
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岩波文庫の『運命』という短編集を読んで、その中の「運命論者」が強く印象に残っていた。また、教科書に載っていた「忘れ得ぬ人々」が忘れられなくて、『武蔵野』(新潮文庫)という短編集を読み、その中の「武蔵野」にもひかれた。 今回『牛肉と馬鈴薯 酒中日記』で国木田独歩の読み残りの短編を...
岩波文庫の『運命』という短編集を読んで、その中の「運命論者」が強く印象に残っていた。また、教科書に載っていた「忘れ得ぬ人々」が忘れられなくて、『武蔵野』(新潮文庫)という短編集を読み、その中の「武蔵野」にもひかれた。 今回『牛肉と馬鈴薯 酒中日記』で国木田独歩の読み残りの短編を読んだことになるのだが、その中の最後に収録してある「竹の木戸」と「二老人」にまたまたぐっと胸をつかまれてしまった。 汲めど尽きせぬ日本の短編名手かな、国木田独歩さん、である。 その一つをアップしてみる。 「竹の木戸」 郊外から都心(京橋)に通勤しているある会社員は真面目を絵に描いたような人柄。妻、実母、七つの娘、妻の妹(離婚して寄宿)、お手伝いさんという家族構成。明治時代だからサラリーマンでもお手伝いさんがいるのは普通のこと。 その郊外の家(今の新宿大久保あたりというから時代変遷!)での生活は質素であったが、和気あいあいの家族だ。 そこへ、隣の物置小屋のようなボロ家に若夫婦が住みはじめた。井戸がなくて困っていたので、使わしてあげるという親切。それも鷹揚な一家のあるじのはからいがあったからだ。 隣とは生垣で仕切られていたが、隣の若夫婦が水くみの便利のため少し開けて木戸を作らしてくれとなり、それが木で作ったのではない、竹で間に合わせた粗末な「竹の木戸」。家族の女どもには大ヒンシュクだが、あるじはあいかわらずの鷹揚。 いつの時代も光熱費には苦労する。当時は炭が主な燃料。一家が倹約して使うのは当然だが、隣の若夫婦はなお困っていた。買えないのだ。 そして、その竹の木戸を通って水くみする通路に一家の炭俵が置いてあった。減り方が変だと気付いたお手伝いさん。はてさて大騒ぎとなり...。 結局のところ若夫婦の妻が自殺するという不幸な結末なのだが、この普通の家庭の一家のあるじの行動が、博愛主義なのか、無関心なのか...。 人間は、見て見ぬふりをしても、それが罪を犯すかもしれず、物事を追い詰めて結論を出そうとしても、罪に追いやるかもしれず、淡々とした平明な市民生活の描写(しかも明治の時代性濃い)のうちに、深く深く表された作品だった。 たしかに現代では文学上普遍のテーマだろう、明治の小説黎明期にこのような作品を残した国木田独歩はすごい!
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夜寝る前にちまちま読んでいた短編集。読み切れてよかった。『春の鳥』がせつなくてよかったな。独歩の自然への想いとか貧困への想いとかが読み取れた気がする。
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