名画消失 ハヤカワ・ノヴェルズ

ノアチャーニイ【著】, 山本博【訳】

• 販売会社／発売会社: 早川書房
• 発売年月日: 2008/01/25
• JAN: 9784152088895

商品レビュー

2020/12/30

ローマにて某日、西洋美術の巨匠カラヴァッジョの宗教画「受胎告知」が何者かに盗まれてしまうという事件が発生しました。時を同じくしてパリでも抽象画家マレーヴィッジの名画「白と黒」が盗難に遭います。さらにロンドンでも最新の美術品の盗難事件が・・・。3都市で起こった美術品盗難事件の捜査にあたり、警察は有名な美術捜査官ガブリエル・コフィンの助けを乞うことにしました。ところが捜査を進めるにつれ、一見孤立して起こったように見える美術品盗難事件には、いくつかの共通点があることがわかります。オークションハウス、美術館、個人のギャラリー、果てはコレクターたちの欲望を満たすためにあらゆる美術品が手に入るという秘密の場所を巡って、歴史的な絵画の贋作や窃盗が相互に絡み合いながら、魅惑的な美術史のディテールや、歯ごたえのある台詞が目まぐるしく展開されていくというストーリーです。

作者のノア・チャーニィは美術史の教授で美術品の偽造と窃盗の専門家でもあるとのこと。それ故か、事件の解決には複数の刑事や法医学の専門家が関与するという設定が光ります。物語は様々な視点から書かれているため、美術品の真贋をめぐる描写にも圧巻される感じはなく、読み終える頃には、登場人物たちに大きな親近感も持ちました。私にとっての本書の読みどころは、やはり幾重にも張られたプロットです。例えば、立証が可能と思えるトリックが随所に登場するのですが、二重のハッタリが張られるなど、いちいちひねりがきいていて一筋縄ではものが目白押しの内容でした。どちらかというと犯罪捜査よりも追跡に重点を置いている内容かなと思いました。

本書を読み終わった後、私たちは美術品に対して何を期待しているのか？何を大切にしているか？コレクターはなぜ収集するのか？といった、芸術に関する色々な想像をするようになりました。私たちが美術館で大切にしている絵画はすべて本物なんだろうか・・・なんてことも。

2012/10/28

馬鹿なので、複雑すぎてちゃんと飲み込めてないので、ちょっとどの絵がどうなってどうおさまったのか、図でも書いてみなくては…と思いました。

2008/08/09

イタリアでカラバッジョがフランスでマレーヴィチがイギリスでもマレーヴィチがそれぞれ盗まれる。。ネタバレしちゃうとこの話の肝は　名画って　どれが本物でどれが模写か　実のところ専門家しかわからないって事ですよね専門家が　本物だって言えば　本物になっちゃうっていう値段があって無いような物である絵画に大枚払うことについての皮肉たっぷりってかんじ