「華厳経」を読む

並河亮(著者)

• 販売会社／発売会社: PHP研究所
• 発売年月日: 1983/06/01
• JAN: 9784569210698

商品レビュー

2011/02/20

この本で華厳の十地品を学んでいる。
十地品とは、華厳経の中で仏にいたる道を段階を追って解説したもの。
旅のガイドとして手元において何度も読みたい。
気づいたことを順次メモしていこう。

◆学んだこと
○第八地 不動地の「差異」とは？
いままで、「(みんなで)わかる」ことを目標としていたので、違いよりも、同じを志向してきた。「みんな同じだ。わかるよね」　だが、「(みんなで)できる＝叶える」ことを目標にすると、同じよりも差異が大切になる。

華厳経の差異の強調は、大悲から発している。

文殊菩薩曰く、「なにゆえ種々の不同ありや、と問うよりもさきにその差異を観察せよ。端正、醜悪、苦楽の不同、性格にもまた満あり欠あり、時にしたがい、身にしたい、方便にしたがい、思惟にしたがい、観察にしたがって個々に接せよ。色、形、家、根、財、主人、眷属(身内)、官位、功徳、知識、それぞれ異なることを知れ。」

○第三地　発生地の「十種の深い心」とは？
清浄な心
落ち着いた心
けがれを棄てた心
貪欲を離れた心
不退転(勇気のある)の心
堅固な心
禅定に出入自在な心
大勇猛の心
何人にもこだわらない広い心
仏陀を慕う大いなる心

○第三地　発生地の「十忍品」とは？
音声忍　いろんなことをきいて忍び、おどろかない。
如幻忍　幻のごとき世間お見ても忍び、おどろかない。
如夢忍　人生夢のごとしと知っても忍び、おどろかない。
如響忍　音声は来ることなく去ることなしと知っても忍び、おどろかない。
如影忍　人の世は影のごとしと知っても忍び、おどろかない。
如化忍　人の世は化けもののごとしと知っても忍び、おどろかない。
如空忍　法界は空のごとしと知っても忍び、おどろかない。

○第四地　焔慧地の「十種の心」とは？
愛情深い心
柔和な心
融通無礙の心
人々に安らぎを与える心
迷いによって乱されない心
さらに自分の向上を願う心
優れた知恵を願ってやまない心
あらゆる衆生を守護したいという心
師を厚く尊敬し、師に従順する心
教えられたままに法を実践する心

◆次に学びたい人
華厳の世界観をもっと理解するために、哲学やほかの宗教と同じ土俵で論じる人に学びたい。理事無礙法界や事々無礙法界とフッサールとの比較、中国で華厳が成長する中で受けた道教の影響など。