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闇の公子 ハヤカワ文庫
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闇の公子 ハヤカワ文庫

タニス・リー(著者), 浅羽莢子(訳者)

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闇の公子 ハヤカワ文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 1992/03/31
JAN 9784150200459

闇の公子

¥440

商品レビュー

4.5

11件のお客様レビュー

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2010/05/28

人間以外の存在を思う…

人間以外の存在を思うとき、妖魔というのはなんとも不可思議な位置にいる。悪魔ではなく、天使でもなく、自らが自らの主であり、善や悪から超越している。汎神論でいうところの神に一番近いやもしれぬ。妖魔のその自由奔放さと、その無邪気さが、我々を魅惑せずにおかない。タニス・リーの作品を読めば...

人間以外の存在を思うとき、妖魔というのはなんとも不可思議な位置にいる。悪魔ではなく、天使でもなく、自らが自らの主であり、善や悪から超越している。汎神論でいうところの神に一番近いやもしれぬ。妖魔のその自由奔放さと、その無邪気さが、我々を魅惑せずにおかない。タニス・リーの作品を読めばそうした魅力的な妖魔の王、アズュラーンに会える。同等の魅力を持った存在はあるいは人間化したドラゴンか、天照かを思い浮かべるのみだ。

文庫OFF

2023/06/01

この作品を訳者は「千夜一夜物語」と後書きで称しているが、まさにその通りである。エシュヴァの女達が霞の如く語るようにこの物語も織り成されていく。とにかく美しい物語である。文章にしても内容にしても。 まず、文章が素晴らしい。擬古文体とでもいうのだろうか。難解で格式ある文調だが、官能的...

この作品を訳者は「千夜一夜物語」と後書きで称しているが、まさにその通りである。エシュヴァの女達が霞の如く語るようにこの物語も織り成されていく。とにかく美しい物語である。文章にしても内容にしても。 まず、文章が素晴らしい。擬古文体とでもいうのだろうか。難解で格式ある文調だが、官能的で音楽的な響きのある美しさを持っている。そして、色彩の描写がとりわけ素晴らしい。一つの色を創るために複数の絵の具を混ぜるような、絵画に通じる美しさがある。読み手の想像を掻き立てながらも、非現実なまでの描写により、影絵のような輪郭の淡さと儚さを孕んでいるように感じた。 アズュラーンに関わる人々は、最後は悲惨な最期を迎えることになる。それが分かっているのに読むのをやめられない。読んでいて辛いのではなく、惹きつけられて仕方がないのだ。それよりもアズュラーンの狡智や叡智、美貌を眺めていたいと思わせる魅力があるのだ。 本作は複数の物語が連鎖的に続いていくのだが、一番好きな物語は「シザエルとドリザエム」の章である。アズュラーンによって分たれた一つの魂が、喪った片割れに出会う歓びは、ずっと眺めていたいくらいに美しい。表現するのが難しいのだが、シザエルとドリザエムは淋しいとか辛いとか人間的な感情で表現することができない。そういったものを超越した、魂が引き寄せられる程の何かーー本能とでも言うのだろうかーーに突き動かされる。淡々と物語は進むのだが、美しい色彩と描写のため、異国の絵巻を見るようである。完成された二人の魂は、アズュラーンをも見惚れさせるものだった。アズュラーンは人界に遊ぶが、時折思いもよらぬものにも出会う為、やはり人間を手放すことはできないのであろう。 そして、憎悪に覆われた地球を、紫水晶の神々でさえも見捨てた地球を、アズュラーンは見捨てることができなかった。人間なくして妖魔は生きていけない。妖魔として、人間を玩具の如きに思ってはいるが、離れられぬ強い愛がアズュラーンにはあったのだ。今まで気まぐれのような愛し方しかアズュラーンにはないと思っていたのだが、人間も神々も救おうとしない地球を唯一救えるような強い愛を持っているのだ。アズュラーンの永生を捨て去るまでの愛に胸を打たれた。胸に迫る、とはこう言うことかと思った。

Posted by ブクログ

2010/05/14

私が持ってるのは萩尾表紙Ver.です。 説明不要の耽美ファンタジーの巨匠、タニス・リーの代表作。 そして「平たい地球」シリーズの始まりでもある。 この人の色彩感覚はすごいです。

Posted by ブクログ

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