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不安な経済/漂流する個人 新しい資本主義の労働・消費文化
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 大月書店 |
発売年月日 | 2008/01/18 |
JAN | 9784272430734 |
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不安な経済/漂流する個人
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商品レビュー
4.5
3件のお客様レビュー
2011/03/18 Koushouブログ2009年ベストで知る原題"The Culture of the New Capitalism"
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本書は、強力な私的所有権、自由競争を原理とする今日の「新たな資本主義(新自由主義)」に対する批判の書であるが、その批判は経済的不平等など経済的な面にだけ向けられているわけではない。むしろ、その主張の中心は、今日の新資本主義がわれわれの生活の文化をも変化させているという点にある。す...
本書は、強力な私的所有権、自由競争を原理とする今日の「新たな資本主義(新自由主義)」に対する批判の書であるが、その批判は経済的不平等など経済的な面にだけ向けられているわけではない。むしろ、その主張の中心は、今日の新資本主義がわれわれの生活の文化をも変化させているという点にある。すなわち、終身雇用の喪失、組織の断片化、急速に変化するビジネスの中で、人々の家族生活は断片化し、求められる人間像も大きく変化しているという点である。 今日求められている人間は、「業務から業務へ、職から職へ場所を移動しながら」、「過去とは決別」して、新たな技術を求めて常に「再訓練」される人間である(11)。そこでは、過去の経験の蓄積によって成り立って来た「職人」や「職人芸」はもはや評価されない。評価されるのは、「問題から問題へたやすく飛び移るコンサルタント的精神、コンテクストや関係性が壊れても、どんな手がうてるか先を見通す能力」であり、「経験や環境のつながり、感覚的印象、深くまで掘り下げる努力」は批判される。そして、これこそが、「リキッド・モダニティ」の時代における労働能力なのである。(124) しかし、そもそも、このような「評価される能力」とは何だろうか。フーコーが分析した「知識がある種の権力をつくりだす過程」は、言い換えれば、「個人や集団のより完全な掌握に資する」知識の発展である。みずからの無知をエリートによって強くたたきこまれた人々は、「圧倒的大部分の力を奪われることになる」。マイケル・ヤングによって造語された「潜在能力(メリトクラシー)」は、達成度の判定よりもはるかに個人的である。「能力がない」と言われるほうが、「業績が悪い」といわれるよりはるかに根本的である。それは、「あなたはもう要りません」ということに等しいからである。このような能力主義は、今日普及する考え方であると同時にシステムとなっている。それは、人を「判断の対象」としかとらえない「組織的無関心」にもとづくシステムである。しかも、その才能を探す網はきわめて狭い。(127) このような能力主義的判断とグローバル化の波によって、「潜在的能力」を有するエリートは国境を越えて移動する一方で、潜在的能力に欠けると判断された人間は、不確実な状況のなかに取り残される。経験的な知識や技術が評価されない中で、「自分たちを人生の漂流者だと感じる中産階級の大集団」(14)が発生している。 今日求められているのは、「短期的なものに順応させられ、潜在的能力だけを評価され、過去の経験をすすんで放棄する自己」である。しかし、「われわれのほとんどはこんな人間ではない。」(12)という著者の怒りが、本書からは聞こえてくる。 今日、日本でよく言われている「エンプロイヤビリティ(雇用されうる能力)」も、組織が個人を訓練するのではなく、雇用されるように自ら訓練せよという時代に変化しているのを表しているのだろう。しかし、多くの人々は、このような変化に「右往左往しながらも」それを「まともに」受け止めているわけでもない。何とかやり過ごそうとしているようにも見える。そんな彼らに、セネットは、「物語性」「有用性」「職人性」という「精神的、感情的な錨」すなわち、「文化的な錨」を提唱する。それが、「今日の理想的自己への挑戦」になると結論づけている。具体的な事例も書かれており、困難ではあるが決して悲観的ではない処方箋も描かれている。
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なぜグローバル化した資本主義経済のもとでは,労働・経済・政治のすべてが不安定化するのか。現代社会の諸事象を組織・能力観・消費文化の3つの変容から読み解き,ポストフォーディズム時代の新たな人間疎外を描き出す。(TRC MARCより)
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