最後のひとり

メアリシェリー【原著】, 森道子, 島津展子, 新野緑【訳】

• 販売会社／発売会社: 英宝社
• 発売年月日: 2007/12/12
• JAN: 9784269820296

商品レビュー

2012/12/04

最後のひとりとなってしまったヴァーニー。

食べ物やお金があっても、誰かがいても、意識を通わせることがなければ、人は潰えてしまう。

しかしヴァーニーは、船で旅をし、残された世界中の図書館で新しい本を見つけ読むことが出来る。
このことが、最後のひとりに対する最後の唯一の希望だ。

声を発して会話はできなくとも、先人の記された言葉で思いを養うことができる。だから、もしヴァーニーがたった一人で死ぬことになっても、けっして見捨てられた孤独ではないのだ。「あなたのための物語」のサマンサ・ウォーカーのように。

この感想文の筆者は、全くの孤独でも明日死ぬのでもないが、今生きているうちに出来るだけの本を読んでおきたい。死ぬときに幸せであるために。そう思うのだ。

フランケンシュタインの作者、メアリー・ウルストンクラフト・ゴドウィン・シェリー（Mary Wollstonecraft Godwin Shelley）の作。

彼女は「フランケンシュタイン」「最後のひとり」以外にもたくさん著作があるのだが、主に訳されているのはこの2つだけ、日本語で読める伝記も少ないのが残念でならない。