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マックス・ヴェーバー ある西欧派ドイツ・ナショナリストの生涯
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 東京大学出版会 |
発売年月日 | 2007/12/07 |
JAN | 9784130362306 |
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マックス・ヴェーバー
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マックス・ウェーバーといえば社会学者としての側面が大きく取り上げられることが多いが、実際には政治的な関心や世界観についても積極的な発言を行っている。その点についてはヴォルフガング・モムゼンのウェーバー論で詳しく取り上げられ、政治家の父親を取り巻く政治的・学問的な家庭環境や、大学...
マックス・ウェーバーといえば社会学者としての側面が大きく取り上げられることが多いが、実際には政治的な関心や世界観についても積極的な発言を行っている。その点についてはヴォルフガング・モムゼンのウェーバー論で詳しく取り上げられ、政治家の父親を取り巻く政治的・学問的な家庭環境や、大学時代の経験がその核として語られてきた。 本書はこうしたヴォルフガング・モムゼンのウェーバー論の方向性を踏襲しつつ、さらに原史料を一から徹底的に調べ上げることで、筆者なりの情報や観点を大幅に加えている。結果、これはモムゼン流の、政治家への意欲を生涯棄てなかったが、様々な理由でそれを果たせなかった政治学者マックス・ウェーバーではなく、アングロ=サクソン文明に代表される西欧社会に大きな自負を持ち、ドイツ文化への大きな愛国心を隠すことがなかったナショナリスト・ウェーバーの全生涯の記録となっている。 当然ながら、本書の厖大な記述を読んで最初に気付かされる点は、マックス・ウェーバーが熱心な愛国者であり、「文明」的であることに重きを置いた世界観を持っていたということである。知的に早熟なウェーバーは、12歳の頃にはシュタウフェン家への愛情溢れた物語を書き上げ、フリードリヒ2世の業績に感嘆し、ハインリヒ獅子公のポンメルン・メクレンブルク征服とそのドイツ化に触れている。さらに後には1年間の志願兵役(通常3年だが、ギムナジウムでの修養が条件で短縮、かつ予備役将校への編入もあり得る)のような知的苦行であっても、慣れるにつれてこれを楽しんで行い、また軍事教練に参加した際にはポーゼンの不潔さと文化の低さを辛辣に書き綴り、カトリックへの蔑視を隠さない。このとき予備役将校として編入されたことで、ウェーバーは第一次世界大戦に際して自ら進んで国家に奉仕する機会を得ている。 そうしたウェーバーの姿を端的に示しているのが、彼の事実上のファースト・キャリアである東エルベ農業問題を巡る論争である。ポーランド人労働者を安価に使うことで大農場の農業生産を何とか維持している点について「経済の問題よりも、国家の問題が優先されるべきだ」という彼の基本方針を掲げている。これは政治とはなによりもまず「国民国家」を第一に考えるべきだという彼なりの政治哲学であり、この点でウェーバーは間違いなく国民国家に奉じるナショナリストであり、鼻持ちならない近代主義者の一人であった。 だが、こうした「気付き」は、結局のところごく当然のことを徹底的に証明したに過ぎないことにも確かだ。19世紀末から20世紀初頭のドイツは、行する国民国家・近代工業国家であるイギリスやフランスの姿を見て、それに追いつくための「道具」として、国民国家として統合されることを望み、プロイセン王とユンカーという古くさい役者が見事にそれを達成した。その後の経済的・工業的発展は言うまでもない。そうした時代に生まれ育ち、しかも知的に恐ろしく優秀だったウェーバーが、分裂し大国の支配に翻弄されるがままのスラブ諸国を蔑視し、また理想像としての近代国家像と現実のドイツ帝国との間にギャップを感じた上で、それを政治的言説によって非難するのもある意味では当然のことだろう。それでもウェーバーの思想的な面しか強調しない伝記が少なくない中で、伝記特有の嘘くささを完全に廃し、多くの未公開資料によって偉人のそうした姿を描き出して見せた筆者の視点はユニークなものがある。
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