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漫画の奥義 作り手からの漫画論 知恵の森文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 光文社 |
| 発売年月日 | 2007/12/05 |
| JAN | 9784334784959 |
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漫画の奥義
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「新しいSFマンガはどういう内容のものなりますか」と聞き手の石子順に答えて手塚治虫はこのように答えている。 「未来の友情ですね。ものすごく冷たい未来社会の管理機構の中にただひとつ残ったものは、親子関係でもなく、師弟関係も駄目になって、友情だと思う。フレンドシップは人類が最後に残す...
「新しいSFマンガはどういう内容のものなりますか」と聞き手の石子順に答えて手塚治虫はこのように答えている。 「未来の友情ですね。ものすごく冷たい未来社会の管理機構の中にただひとつ残ったものは、親子関係でもなく、師弟関係も駄目になって、友情だと思う。フレンドシップは人類が最後に残す遺産じゃないかという気がするんです。これが人種とか民族をこえた上の人間の一番重要な性格なんじゃないかという気がして、その友情だけが残っている世界をマンガで描きたいんですよ」もちろん手塚のことだから、単なる友情物語ではない。そのあと簡単なプロットを喋っているのだが、サイボーグのようになってしまった元地球人と人類との友情を描くのだそうだ。ちょっと考えるだけでもわくわくする。しかし、ついに読むことは出来なかった。 この本は最後に刊行された手塚治虫のインタビューである。「僕は漫画家」「ガラスの地球をすくえ」等の発言と被らないようにわりとびっくりするような発言が相次いでいる。5年前に文庫化されて直ぐに買っていたのであるが、積読状態だったのをやっと読んだ。 一般に手塚に影響を与えた漫画家としてはディズニーがよくあげられる。他にはわずかに田河水泡ぐらいか。しかし、手塚に影響を与えた漫画家はそんなものではないということが明らかにされる。戦前の漫画家の名前がアンチョコもなしに次から次に出てくる。特に北沢楽天の存在は大きくランプのキャラクターは楽天の金輪梨朗から取っていると言っている。手塚の「火星探検」評、「のらくろ」評はちょっとしたマンガ評論家顔負けであった。チャップリン評も見事。 いや、手塚はありとあらゆる文化から影響を受けている。それを類稀なる記憶力で頭に入れて自分のものに出来た。思うに、天才たる所以であろう。ジョージ・マクナスというアメリカ人が昭和初期に新聞に漫画を描いていたが、そこから手塚は初期の漫画に頻繁に出てくる見開きの群集シーンを学んだという。 他にもこんな事を初めて知った。 ・父親がカメラ好きだったことは知っていたが、マンガを描いていたとは知らなかった。 ・中学生の段階で、完全に帝国少年だったのにもかかわらずわずかな情報から「聖戦完遂なんてちゃんちゃらおかしい」日本が勝てるとは思っていなかった、という。 ・大空襲で焼けてしまった200数ページの大長編「恐怖菌」(得体の知れない細菌がぱっと未開の地にはこびって日本に襲ってくる)があった。他には「幽霊男」(メトロポリス)、「ロストワード」などがありこれは無事だった。「恐怖菌」のアイディアは「タイガー博士」に一部使われているらしい。 ・また「アトムが原子力だから、それが原発を推進しているとはいえないんですよ。それはちょっと話が違うわけです」とはっきり言っている。 ・意外にもベストの映画は「ホフマン物語」。 ・ブラックジャックの一話を作るために常時話を四つ用意して編集者に喋っていたという。つまり全100話を作るために400話を話を作っていた。等々等々。 知らなかったエピソードが山盛りだった。ちょっと得した気分の一冊。
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後期の手塚治虫がじっくりと自らの半生を降りかえり、昭和の漫画論、映画論、そして自らの創作方法について述べた。さまざまな時期の聞き書きをミックスしてるようだが、さほど構成に違和感は無い。本書も実は遺筆の一冊。本来はさらに漫画論を語る予定が有ったらしい。手塚治虫という天才が影響された...
後期の手塚治虫がじっくりと自らの半生を降りかえり、昭和の漫画論、映画論、そして自らの創作方法について述べた。さまざまな時期の聞き書きをミックスしてるようだが、さほど構成に違和感は無い。本書も実は遺筆の一冊。本来はさらに漫画論を語る予定が有ったらしい。手塚治虫という天才が影響されたものを熱っぽく語り、そして自らを掘り下げた。論旨は決して厳格ではないが、とても読み応えある一冊。
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