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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2007/12/06 |
JAN | 9784062143899 |
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商品レビュー
4.5
2件のお客様レビュー
平野啓一郎氏の最初のエッセイ集です。三島作品を論じた「『金閣寺』論」「『英霊の声』論」を中心に、文学、音楽、美術、建築、そして自らの作品について論じたもので、平野文学を理解する『鍵』であると思います。 本書は作家、平野啓一郎氏の最初のエッセイ集です。対談集である『ディアローグ』...
平野啓一郎氏の最初のエッセイ集です。三島作品を論じた「『金閣寺』論」「『英霊の声』論」を中心に、文学、音楽、美術、建築、そして自らの作品について論じたもので、平野文学を理解する『鍵』であると思います。 本書は作家、平野啓一郎氏の最初のエッセイ集です。対談集である『ディアローグ』とこの『モノローグ』発意をなす存在であると思っておりますので、一気に読もうかと思っておりましたが、諸般の事情でこっちを読むのが遅れてしまいました。しかし、内容の濃さとページの厚さを考えると、二冊同時に読むのはかなり苦労するだろうなと今にして思えばそう思います。 本書は三部作構成になっておりそのⅠは最初から平野氏の文学的な原点である三島由紀夫。その三島文学の新たな読みを提示した「『金閣寺』論」と「『英霊の声』論」は原典を読んだことがない状態で読んでしまったので、その内容、読み方のあまりの深さについていけず、展開されている三島論並びに作品論は文字を追いながら『あー、こりゃあまず原典を読んでからにすればよかったなぁ』と思ってしまいました。 しかし、この中にも、後に『分人四部作』に結実する思想が断片的に記されていたように思いました。さらには、自身がそのほかに影響を受けたオスカー・ワイルドやミルチャ・エリアーデに関する論考。『ディアローグ』で平野氏が芥川賞を受賞した当時に対談した日野啓三氏が他界したときの追悼文も言語において精緻を極める平野氏ならではの心のこもった追悼文ありました。 Ⅱは建築、演劇、音楽、美術に関する評論やエッセイをまとめており、建築に関して自分はそういう分野にはわかりませんで、平野氏の言葉を虚心坦懐に読むだけでありましたが、演劇では劇団四季の『オペラ座の怪人』や『コンタクト』を観劇したときの批評。さらには「ディアローグ」でも対談した横尾忠則氏に関する文章。『美』というものを小説で謳い上げる氏の『芸術観』を垣間見たような気がいたしました。 Ⅲは個人的に最大の読みどころだと思っておりますが、平野氏本人による自作の解題で、デビュー作であり芥川賞を受賞した『日蝕』その内容と独特の文体から賛美と毀誉褒貶が巻き起こり、平野氏自身が筆を取って『日蝕』の解題するなかで的外れな評論およびそれを書いた人間を『愚評』『愚評者』と一刀のもとに切り捨てていたのを読むと、頭をレンガで殴られたような気がし、 『この文章も愚評なんだろうなぁ…』 と思いながら書いているのですが…。それなりに誠実にはあろうと思っていますけれど…。ただ、あの『日蝕』も日常では使わない漢字を多用しているので、PCに手書きで漢字を入れるなどの実に涙ぐましい努力をされているということを読み、あれは天から与えられた才能だけによって書いたものではなかったことを知り、とても面白かったことを思い出します。 他にも、様々な工夫を凝らして書いた短編集や、現代の性を書いた『高瀬川』についても自身の筆によって書かれ、対談集である『ディアローグ』同様、平野啓一郎という作家および作品を知る『鍵』であることは確信できるかと思います。
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読み進むのにものすごく時間を要した。特に最初の三島由紀夫の「金閣寺」についてのエッセイ。 文章のリズムというか、言葉遣いが特殊で、するーっと読むことを許さないような摩擦係数の高さのようなものがあった、とでも表現すれば良いのだろうか? 実は自分はあまり「小説」が好きではないので...
読み進むのにものすごく時間を要した。特に最初の三島由紀夫の「金閣寺」についてのエッセイ。 文章のリズムというか、言葉遣いが特殊で、するーっと読むことを許さないような摩擦係数の高さのようなものがあった、とでも表現すれば良いのだろうか? 実は自分はあまり「小説」が好きではないので、平野啓一郎氏の作品を全く読んだことが無く、従って図書館で見た背表紙の印象で手にとってみたのだが、その(年齢の割には)非常に落ち着いた思考と文章から、とても頭のいい人なんだろうなあと素直に感じ入った。 特に歴史に対して非常に意識的である態度は、ある意味建築家のそれと非常に近しいと感じた。 自分が小説を苦手なのは、どうしてもその作品世界に強制的に引っ張り込まれて、世界や登場人物をリアルに想像させられてしまう際にある種の不快感(面倒くささ)を感じてしまうからで、それは平野氏が語るところの「小説が持つ線形的な時間の流れ」に対する自分の違和感なのだろうか。 次は、平野氏の小説を読んでみようか。
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