- 中古
- 書籍
- 書籍
ゴジラ・モスラ・原水爆 特撮映画の社会学
定価 ¥2,530
990円 定価より1,540円(60%)おトク
獲得ポイント9P
在庫なし
発送時期 1~5日以内に発送
商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | せりか書房 |
発売年月日 | 2007/11/20 |
JAN | 9784796702805 |
- 書籍
- 書籍
ゴジラ・モスラ・原水爆
商品が入荷した店舗:0店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
お客様宅への発送や電話でのお取り置き・お取り寄せは行っておりません
ゴジラ・モスラ・原水爆
¥990
在庫なし
商品レビュー
3.5
2件のお客様レビュー
怪獣映画に魅了され、『ウルトラQ』に熱中し、大阪万博の会場近くの街で育ったという筆者が、怪獣表象と原水爆言説との関係性を、映画のストーリーに即して丹念にあとづけていく。〈3・11以前〉の書物であるという感は否めないものの、山本昭宏氏の著書を読んだ直後だったこともあって、山本氏の...
怪獣映画に魅了され、『ウルトラQ』に熱中し、大阪万博の会場近くの街で育ったという筆者が、怪獣表象と原水爆言説との関係性を、映画のストーリーに即して丹念にあとづけていく。〈3・11以前〉の書物であるという感は否めないものの、山本昭宏氏の著書を読んだ直後だったこともあって、山本氏の仕事を補完する視点としても、興味深く読むことができた。 水爆実験の結果としてゴジラが生まれたことはよく知られるが、そのゴジラが、一人の天才科学者が発明した究極兵器によって死に追いやられる(科学者は、自らの発明が軍事利用されることをおそれ、ゴジラと共に死ぬことを選ぶ)というストーリーを、人々はどれだけ知っているか。筆者は、放射能を含む熱線を撒き散らし、東京を破壊していくゴジラは、原水爆の記憶の忘却を戒める存在だと捉え、怪獣映画・特撮SF映画が、いかに〈核〉の表象を利用し、消費し、蕩尽していったかを論じる。 『美女と液体人間』(1958)では、わけのわからない人類の変成を説明する原理として〈核〉の記号が導入され、『世界大戦争』(1960)では、世界を破壊する究極的な暴力として〈核〉が位置付けられる。だが、一見第五福竜丸事件との強い接点を喚起する『モスラ』においては、「放射能」の文字は抽象的な意味しか持たされず、それにまつわる不気味さ、恐れ/畏れはきれいに脱色されている。初期のゴジラにはあった、怪獣の存在理由は語られなくなり、〈いま・そこ〉にいる怪獣たちの戦いのスペクタクルへと関心が移行することが、〈核〉の恐怖をファンタジーに閉じ込め、異常さ・奇怪さを生み出す説明の資源としてのみ活用する、という傾きが前景化してくる――。これが、1950年代〜60年代の怪獣映画で起こったことなのである。 筆者は、この本の内容を「ヒロシマ」の表象の問題と結びつけようとしている。だが、それは、それこそ怪獣映画的なこじつけ(持ち込まれた「わけ」)ではあるまいか。ヒロシマの表象は、ナガサキのそれとあわせ、それ自体としてきちんと考えられるべきである。そして、怪獣映画の怪獣表象、〈核〉の表象も、やはりそれ自体として考えていく方が適切ではないか。
Posted by
筑波大学大学院人文社会科学研究科教授・好井裕明(社会学)による特撮怪獣映画における原水爆論 【構成】 1 特撮怪獣の終焉に出会う 2 反原水爆という鮮明なイメージ 3 リアルな恐怖としての原水爆イメージ 4 ファンタジー化する原水爆イメージ 5 脱色されたリアルとしての原水爆イ...
筑波大学大学院人文社会科学研究科教授・好井裕明(社会学)による特撮怪獣映画における原水爆論 【構成】 1 特撮怪獣の終焉に出会う 2 反原水爆という鮮明なイメージ 3 リアルな恐怖としての原水爆イメージ 4 ファンタジー化する原水爆イメージ 5 脱色されたリアルとしての原水爆イメージ 6 お茶の間に定着する軽妙な原水爆イメージ 7 特撮怪獣映画を読み解く意味とは? 1954年の『ゴジラ』にはじまる東宝のゴジラ・シリーズに反原水爆のメッセージが込められているということは多くの人が知っている。本書はゴジラを中心とした特撮映画の中で原水爆がどう扱われたのかをシーン毎に取り出して論じている。そして、1960年代に入った頃からリアルなイメージから離れてファンタジー化していったと論じる。 著者の主張に新鮮味は無いし、「今さら」感が強い。議論として成立させようとするならば、その映画制作当時のニュース、流行、テレビ・ドラマ、漫画等々の社会的・文化的な背景を明らかにした上で、「なぜ原水爆の扱いが軽くなったのか?」という問いへの答えを提示するべきであろう。同時期に出た小野俊太郎『モスラの精神史』と比較しても、作品の分析は浅い。
Posted by