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敢えて風雪を侵して 新島襄を語る4
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敢えて風雪を侵して 新島襄を語る4

本井康博【著】

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敢えて風雪を侵して 新島襄を語る4

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 思文閣出版
発売年月日 2007/10/01
JAN 9784784213757

敢えて風雪を侵して

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2017/04/29
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※このレビューにはネタバレを含みます

新島襄には「梅」をテーマにした有名な漢詩が二編ある。読み下し文で紹介する。 真理は寒梅の似(ごとし) 敢えて風雪を侵して開く 庭上の一寒梅 笑うて風雪を侵して開く 争はず又力(つと)めず 自から占む百花の魁(さきがけ) 新島襄は、梅に特別な想いがあったようで、奈良の月ヶ瀬にも観梅に出向いている(1887年4月1日)。前者の漢詩は1888年の作で、月ヶ瀬での観梅がヒントになった可能性がある。後者は新島が最期を迎えた1890年1月頃、療養先の神奈川県大磯で作られたと考えられている。両者には、ただ新島襄の晩年の作というだけでなく、当時の社会背景が映し出されていると考えるのが自然だ。 つまり、「真理」を「キリストや聖書が示す原理」と考えると、1888年に欧化主義が終焉し、1889年の宗教教育の禁止とそれに伴う「国家神道」の強まりの中で、キリスト教主義の大学設立の難しさと、迫害や抵抗勢力に屈しない自らの強い「志」を謳ったものに違いないと思うからである。そこには、時流に流されることなく信念を持って生きることの大切さも込められている。 また、本書では新島襄が真理や神には従順な「リベラリスト」と紹介されている。つまり、リベラリストは全てのものから解放されている訳ではないという点が重要だ。本書とはずれるが、リベラリストの代表であるイマヌエル・カントが考える自由な行動とは、自律的に行動することであり、「義務の動機」(有用性や利便性の為ではなく、そうすることが正しいからという理由で行動すること)だけが、行動に道徳的な価値を与えるという。つまり、人間性(人格)を究極目的とするのが正義(道徳)であるというのだから、両者は「リベラリスト」として、共通する考えを持っているように思う。 新島襄は、同志社設立や宣教師としての側面に焦点が当てられがちだ。しかし、その人格や生き様、そして哲学も実に魅力的である。タイトルにある「敢えて」行動する精神と「梅」の花ことば「高潔」「(神・福音に)忠実」「忍耐」は、新島襄の生き様を端的に表している。徳富蘇峰や中曽根康弘元首相など多くの人が、新島襄を最も尊敬する人物として挙げるのも頷けるのでる。

Posted by ブクログ

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