猫の事務所

小林敏也(著者)

• 販売会社／発売会社: パロル舎
• 発売年月日: 1983/10/01
• JAN: 9784894190078

商品レビュー

2018/03/11

猫の事務所のパワハラ事件。現代社会とまったく同じではないか。
獅子が登場して猫の事務所はあっけなく解散となるが、パワハラを起こしていた同僚、最初は被害猫に理解をしめしていたが一緒に加害を加えていた事務長、なにも変わっていなくて解決していないじゃないか？被害猫も解雇となって救われていないのではないのか？
獅子は超越的ななにかなのかなと思ったのだが、それが登場しても解決しない？！そのことがまた現代社会のいじめとだぶって見える。

2015/01/03

猫の地理や歴史について調査する第六事務所で働くかま猫がいじめられる物語。優秀なかま猫は同輩に妬まれて職場で孤立してしまう。

指名されたらすぐに本を開いて回答できるように、本の該当箇所に両手をそれぞれ挟んでスタンバイしているかま猫かわいい。
絵も文章も、レトロなかわいらしさとかま猫がかわいそうな気持ちが伝わってよい。

「・・・ある小さな官衙に関する幻想・・・」宮沢賢治の時代の官庁勤めといったらかなりのエリートなわけだが、当時、東北など地方出身の努力家が、都会の役所にはいって、ある種侮蔑的な目でみられるということがたぶんおおくあっただろうし、あとは役人同士の地位争いといったイメージか。

確かに、いじめられて、せっかく自分の才能を活かせる職場も失ってしまったかま猫はかわいそうだけど、出自によるいじめや醜い地位争いにかまけている猫たちに地理も歴史もあったものか、という点では、僕もこの獅子に半分同感です。

エリートの役所に勤める官吏たちは、自分たちは優秀で栄誉ある仕事をしていると思っているけれど、その優越感、プライド、競争心から、その内実には、ポスト争いや贔屓、差別も存在していて、そういうエリートや役所組織の負の面を、宮沢賢治という農村に寄り添った、農村的組織の人からの視点で描いた物語なんだろうな。
この物語を読んだ人が「こういうのって今でもあるよね」って思ってしまうのが悲しいところ。この作品が世に出てから何十年経っても、組織のあり方は変わらず、実際には解散を命じる獅子もいない。

2014/09/28

みんなに邪険にあつかわれる窯猫がかわいそうでした。
それゆえ、そんなことをしているから事務所解散も自業自得かなって思ってしまいました。