関東平野 わが青春漂流記 下(3)

上村一夫(著者)

• 販売会社／発売会社: 小池書院
• 発売年月日: 2005/10/06
• JAN: 9784883159802

商品レビュー

2006/03/22

この漫画はわたしが高校時代、近所のごみ捨て場から拾ってきたエロ本に載っていた漫画で他の漫画とは全然画力が違うのと（上村一夫は昭和の絵師といわれた人なんで当たり前なんですけど）独特の妖しさに惹かれ完結後すぐさま単行本を買った本です。

物語は東京大空襲で両親を亡くし小説家の祖父と暮らしてる少年金太の大人になる迄の話で上村一夫の自伝的な作品でもあります。

復員後闇市マーケットを作るが米兵と妻の情痴を見てしまい二人を惨殺し山で自決するヤクザの健さん、新聞の有名な挿絵家でありながら戦後の性の解放に目覚め緊縛画家になってしまう柳川大雲、教師や同級生らと肉体関係を結び最後は心中をしてしまう山根淳子、そして劇中もっとも魅力的なのはずっと女の子になることに憧れていている金太の同級生の妖しい男の子銀子。銀子の話っていうのは戦後カルーセル麻紀らの性転換ゲイボーイの歴史そのものです。

とにかく主人公金太の取り巻くものは性のオンパレード。だけど本当にいやらしくなくむしろ切ないんです。

作者上村一夫が亡くなって一時期、彼の漫画が本屋から消えたことがありましたが没後２０年を経て再びブームになりまたどんどん復刊されてます。値段は割り高なんですがヤフオクで法外な値段を出さなくても「関東平野」でも「同棲時代」でも「悪魔のようなあいつ」でも上村一夫作品が読めるんです。

是非この機会に漫画喫茶でもいいから「関東平野」を読んでみてください。

願わくば双葉社アクションコミックス全４巻を入手せよ。