セラピー文化の社会学 ネットワークビジネス・自己啓発・トラウマ

小池靖【著】

• 販売会社／発売会社: 勁草書房
• 発売年月日: 2007/08/30
• JAN: 9784326653294

商品レビュー

2019/02/03

あるネットワークビジネスが1994年に公表したデータによると、少しでも小売活動やスポンサー活動をした「アクティブ・ディストリビューター」（全ディストリビューターの約30％）の平均年収が約21万円、仕入れが直接できるランク以上（アクティブ・ディストリビューターの約1.3％）の平均が約488万円、名実ともに成功者と呼ばれるランク以上（アクティブ・ディストリビューターの約0.05％）の平均が約2350万円である。

2012/08/06

自己啓発もセラピーも、お互いに人間性の「回復」という点で共通している。セラピーは言うまでもなく、自己啓発においては「理想の人間像」が掲げられ、そこへ向かって上昇していくというのが典型的モデルだからだ。

本書はそれに加え、ネットワークビジネスをまとめているのが個人的に新鮮。確かにニューソート的な思想背景を持っているが故に親和性はある。それは換言すれば、狂信的なまでのポジティブ思考というところに行き着くのだろう。

とはいえ、セラピー文化の「部品」レベルとしてネットワークビジネスがあるのはわかるし、どれも出自がアメリカで顕著なものということも理解出来るのだが、これらにネットワークビジネスが含まれるというのは「セラピー」というものを切り口にしたとき、いまいちわかりにくい気がする。

これは推測だけれど、なぜここにネットワークビジネスが含まれるのかというのは、セラピー文化と宗教というものが連続線にあるものという認識が筆者に含まれているからではないかと思う。ネットワークビジネスも自己啓発もセラピーも、どれも一面として宗教臭いからこそ、ここに共通点が見出されているのではないだろうか？

ここのところに、自己啓発とセラピー文化がニューエイジ的と形容される一方、必ずしもニューエイジ的ではないネットワークビジネスが包摂されている理由の一端があるのだろう。

2010/05/12

セラピーが現代の宗教になっている。（正しい自己を提供している
）
強い自己（ネットワークビジネス、自己啓発セミナー）と弱い自己
（やや後に発生、自助グループ）の２極が同時に存在
手法として、実存カウンセリング系の存在が大きい。
どちらにしても、先鋭化すると社会と対立する傾向がある。

セラピーは２つの軸で
分類できる（？）
・自己責任の有無
・社会の捉え方