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いのちの授業 がんと闘った大瀬校長の六年間 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社/ |
発売年月日 | 2007/09/01 |
JAN | 9784101325712 |
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いのちの授業
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『学びの共同体』づくりという革新的な志を持って新設校の校長になった大瀬校長。大学教授を導師とし同僚の教師たちと一丸となり新たな学校経営を模索する一方、スキルス胃がんと診断され大手術を受ける。学校を自らの生きる場として、より良い授業を探し求める姿は、教師の鑑!と書くと、学校教育に興...
『学びの共同体』づくりという革新的な志を持って新設校の校長になった大瀬校長。大学教授を導師とし同僚の教師たちと一丸となり新たな学校経営を模索する一方、スキルス胃がんと診断され大手術を受ける。学校を自らの生きる場として、より良い授業を探し求める姿は、教師の鑑!と書くと、学校教育に興味のない人は手に取らないかな。難しいことじゃなく、死を宣告された人が自己実現のためにどう生きたか。その生き様が周りを動かしその思いが周りの人々に伝播して彼の命が永遠につながれていくことがとても尊く、涙が止まりませんでした。
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「いのちの授業」の大瀬さんのことは、たしか雑誌の記事で読んだおぼえがある。いのち、死、生きるということ―病む自分のからだを見せ、絵本などを読みながらの授業だった。 その大瀬さんが茅ヶ崎に新たにできた浜之郷小学校での実践を書いた『学校を創る』を読んでみたいと思ったら近所の図書館...
「いのちの授業」の大瀬さんのことは、たしか雑誌の記事で読んだおぼえがある。いのち、死、生きるということ―病む自分のからだを見せ、絵本などを読みながらの授業だった。 その大瀬さんが茅ヶ崎に新たにできた浜之郷小学校での実践を書いた『学校を創る』を読んでみたいと思ったら近所の図書館になくて、大瀬さんの名の入ったこの本をみつけたので借りてきて読んでみた。 茅ヶ崎で久しぶりにできた新しい浜之郷小学校。「学びの共同体」をつくろうと、授業研究と学習参加を柱に据えた学校。 開校当初、大瀬さんは松本教頭にいつも言っていたという。 ▼「初めに素晴らしい学校づくりをやっても、教職員は異動していく。そうすると最初のころのものが消えてなくなって、元の木阿弥になってしまう。人が代わっても続けることができるかが大切だ」(p.54) その学校で大瀬さんが導入した「一役一人制」と同僚性についての話のところ、「無駄」「スリム化」という言葉にちょっとドキっとしつつ、「当事者意識」と「同僚性」が印象に残るエピソードだった。 ▼「当事者意識のない者同士がいくら会議をやったって無駄です。一人の担当者に一つの役を切り盛りするすべての権限を与え、その決定に全員が従う。責任は校長が取る。そうすれば、組織がスリム化し、会議を大幅に削減できる。そしてその結果、子供の話を聞いたり、教材研究をするのに時間を費やすことができ、教師の生きがいも生まれてくるんです」(p.29) 大瀬さんはそう言うものの、「一役一人」を、自分一人で全部の仕事をやることと思い、途方に暮れる先生もみられた。給食担当の野上先生は、開校したばかりの4月、山積みの割烹着を前に、全校23クラス分、袋からキャップと割烹着を取り出し、マジックで学年、クラス、番号を書きこむ仕事を、黙々と一人で始めた。野上先生が孤軍奮闘している会議室と廊下をはさんだ向かいの職員室では他の先生たちが雑談していた。 大瀬さんは、松本教頭に「今こそ、『一役一人制』と同僚性を教える時ですよ」と耳打ちした。そして、仲間の先生の協力で割烹着の名前書きがすべて終わったとき、大瀬さんは「野上さん、こういう時こそ、同僚に声をかけていいんですよ」とにこにことしていた。 同郷出身、かつての上司であり、親友でもあった角田さんが大瀬さんの過去を語ったところでは、「上昇志向も強かったなあ」という話に、「いのちの授業の、あの大瀬さん」というだけではない、大瀬さん像を見た気がした。 ▼「自分が大病を患って、初めて弱者の気持ちを身をもって知ったのでしょう。それまでは斬り込み隊長として、相手の事情やしがらみにかかわりなく筋を通すのが、大瀬君のやり方であり、また、それが彼の魅力だった。上昇志向も強かったなあ。それが一転して、弱い者のケアに向かった」(p.92) 大瀬さんは、二人の兄にコンプレックスをもち、対抗心を燃やし、いずれは茅ヶ崎の教育長になったら、そのとき初めて兄たちに伍することができるという気持ちも強かったらしい。大瀬さん自身が「名声や権力を得ようと思っていた」と振り返っている。 浜之郷小学校の創学の理念「学びの共同体」に、第二の開学宣言といえる「互いに育み合う癒やしとケア」が加えられたのは、大瀬さん自身が病を得たことと無縁ではないはず。 ▼「学びで癒されるならば最高だし、学びにはそういう力があると思う。でも、自分を支えてくれる基盤がないと、人間はやっぱり本当の意味で前に進めない。現在のような社会状況、家庭状況のなかでは、組織的、計画的、継続的に子供を支えられるのは、やっぱり学校しかない」(pp.78-79) 大瀬さんの信仰についての話も印象的だった。息子から本をもらって読み、教会へ通うようになった大瀬さんは、勉強会を経て、洗礼を受ける。「死ぬのが恐いんです。どうしようもなく怖い」「信仰を持って死にたい」と、牧師に会った大瀬さんはぼろぼろ泣いて訴えたという。そして洗礼を受けた大瀬さんは"永遠の命"を授かった喜びに満ちていた。 ここを読みながら、母もこんなん思ってたんかなーと思った。病気になった母に長命はのぞめないのだろうと私は思っていたが、母自身は自分のいのちの限りをどんな風に思っていたのか。いろいろな感情がこみあげて、読んでいる途中で、4度くらい、はらはらと涙が出た。 (12/18了)
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教育へ希望をの光を、心の中にともしてくれた1冊。 いつか自分も、自分の思いを伝える授業がしたい。
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