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明末西洋科学東伝史 『天学初函』器編の研究
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 知泉書館/ |
発売年月日 | 2007/08/15 |
JAN | 9784862850157 |
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明末西洋科学東伝史
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安大玉『明末西洋科学東伝史』知泉書館,2007年:マテオ・リッチ、サバティーノ・ウルシスらが口述し、徐光啓・李之藻が文章にした『天学初函』(1629年)器編の研究書である。第一章は『天学初函』の成立と構成などをまとめてある。第二章はイエズス会の科学教育でクラビウスの科学教育改革について書いている。第三章はイエズス会士の中国科学に対する評価である。基本的に中国科学は徐光啓らがいう「義」(法則、一般解)の部分が弱く、リッチははっきりと中国に科学はないといっていることなどを指摘している。第四章はリッチ・徐光啓の『幾何原本』の翻訳とその内容である。第五章は『同文算指』による筆算の受容、第六章は『測量法義』『測量異同』『句股義』などの測量学、第七章は『乾坤体義』と地円説、第八章・第九章はアストラーブ(星座早見・日時計・測量機器などの機能を一つにした西洋の道具で、複数の円盤を組み合わせたもの)の伝来を書いている。イエズス会士が訳した西洋科学の本はほとんどが、彼らの科学の師、クラビウスが注釈を施した古典であったり、教科書として編んだ著作であった。リッチは徐光啓・李之藻のみが西洋科学を理解しえたと書いているそうである。『幾何原本』の演繹的論理は清朝考証学の証明を重視する精神の基礎となったのではないかと、著者は指摘している。また、ヨーロッパのアストラーブが二種(渾蓋通憲=平儀と簡平儀)輸入されたことによって、渾天説(宇宙の立体的把握)と蓋天説(宇宙の平面投射)を統一して理解する方法がでてきたことを指摘している。地円説(地球説)についても中国古典の再解釈につながった。この時期、西学によって中国の古典を理解する方法が生まれたのは大変興味深い点である。その後、清朝に入ると西学中源説がでてきて、情報が錯綜するなか、経学のフレームワークに落ちついていったとされている。また、テクニカル・タームと一般名詞の混同など科学文献の翻訳にからむ問題の指摘も興味深い。文章は簡潔でよくまとめられており、この分野のすぐれた研究書だと思う。幾何学用語の翻訳表など、役に立つ情報も多い。方以智の思想にも徐光啓・李之藻によって切り開かれた西学理解が影響を与えていることを確認できる。天文・数学は西洋科学が威力を発揮した部分だと思うが、中国の伝統思想の「抵抗」について、とくに中国自然学の根底にある易学との関係については、あまり触れられていないと思う。
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