優しい煉獄 徳間デュアル文庫

森岡浩之【著】

• 販売会社／発売会社: 徳間書店/
• 発売年月日: 2007/08/31
• JAN: 9784199051722

商品レビュー

2018/01/24

面白かった。電子的な「あの世」が舞台。
天国のようなところでもなく地獄でもない世界で死者が暮らす。
お金がなくなると、消去されるのは、この世よりシビア。

2014/07/24

主人公たちの活動している世界の時間感覚が
停滞しているというか、ゆるやかなので、自分までが
死後の電脳世界で暮らしているような錯覚を覚えます。
本当に傷つくことはない街で、どんな心の動きがあるのか。

小道具には登場しますがこの探偵は
ハードボイルドとも、ちょっと違いますし。

ネットでの交流やゲーム世界でのやり取りに慣れていると
イメージも湧きやすいので、作品世界にすっと入ることが
出来ます。

事件の解決を目指すと言っても、そんな大事件が起きる
わけでもなく。

永遠の時間をお金で買い続ける住人たちの、
ある種の閉塞感。

私達と決定的に違う。ログアウト先のない彼ら。

あるいは、現実からログアウトして、仮想にログインしてゆく
私達の、もう一つのモデルとして読んだ時に。

行き場のないやるせなさがあって。
そういう意味では確かに「優しい煉獄」という題名は
この作品にピッタリだと思います。

2012/06/08

主人公の探偵は、死後の世界を生きる電脳体。

死後、脳と仮の体（アバター）だけで電子的に「生きる」という独特の世界感に引き込まれます。体は自分の好きな形に作れる、なに不自由のない世界で探偵を営む主人公。物語は電脳世界をより刺激的にするため企画された「犯罪チケット」によってより面白みを増します。

ＳＦ作品としてだけでなく、ちょっとドタバタなミステリ、人情モノとしても楽しめます。気楽に読める一冊です。