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自衛隊 変容のゆくえ 岩波新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店/ |
発売年月日 | 2007/07/20 |
JAN | 9784004310822 |
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商品レビュー
1.5
2件のお客様レビュー
序章を読んだ段階から、読むのをやめようかと思ったが、それを思いとどまり最後まで読んだ。 冷戦終結後、長らく憲法9条・日米安保体制下で「専守防衛・基礎的防衛力」を墨守するとされてきた自衛隊の変容を描いた本書の趣旨は、手に取るようによくわかる。 すなわち対米従属を全面に押...
序章を読んだ段階から、読むのをやめようかと思ったが、それを思いとどまり最後まで読んだ。 冷戦終結後、長らく憲法9条・日米安保体制下で「専守防衛・基礎的防衛力」を墨守するとされてきた自衛隊の変容を描いた本書の趣旨は、手に取るようによくわかる。 すなわち対米従属を全面に押し出して、集団的自衛権を容認し、新ガイドライン・周辺事態法・有事立法、さらにはテロ特措法・イラク特措法といった種々の法律によって、憲法軽視→改憲・戦争のできる国に日本はなっているということである。 著者の前田氏の力量は並のジャーナリスト以上、学者以下といったところだろうか。90年代以降の、防衛に関する問題点が簡潔に整理されているので、あまり知識を持たない人でも根気よく読めば、よくわかるだろう。 しかしながら、本書には致命的な欠陥がある。それは北東アジア情勢の分析である。自衛隊は、日本国民を国外からの脅威から防衛するために存在するのである。 もちろん、軍人が独断専行と政治の専横によって、日本国民および周辺諸国に途端の苦しみを与えた戦前の歴史的事実を閑却するわけではないが、少なくとも戦後六十年の民主国家日本において、そのような状況は優先的に憂慮すべき問題ではないはずだ。 つまり、2007年の現在において自衛隊を論ずるならば、自衛隊はいかなる脅威から、いかなる手段で国民を守るべきなのかということを論ずるべきであろう。著者は、「本来任務ではなかった」はずの海外任務については、多くのページを割いているが、自衛隊法改正前の「本来任務」についてはほとんど言及していないのである。自己矛盾もいいところだろう。 だいたいにおいて、「アメリカの政策に賛同すること」自体がよくないという論調で説明を行っているが、なぜよくないのか、どの部分がよくないのかということが具体的に何一つ説明されていないことも不満を感じる。自民党政権が外交政策において親米であることは疑い無いし、独立国として過度の対米従属は厳に戒めるべきであろう。そうではあっても、親米(従米)政策であるからという理由で批判するのは学者(を自称する人間)としてはお粗末と言わざるを得ない。 自衛隊の問題点を整理し、批判をすることについては大いに結構なことであると思うが、ありもしない日本国民に対する脅威を妄想し、過剰な足かせを着けようとすることは、著者の主張自体の説得力を失わせ、安直な反対意見・極端な改憲論を生む土壌になることは明白である。 最後に本書の最終章について述べたい。著者は明らかに「護憲」を標榜し、憲法九条を維持した上での新たな安全保障を、自衛隊のオルタナティブとして提示している。 戦後占領期についての認識不足も目に付くところだが、やはり一番の問題は著者の言う「オルタナティブ」であろう。EUを引き合いにだして、相互信頼に基づく北東アジアの非核化をふくむ包括的な安全保障、平和主義外交による人間の安全保障がその軸である。そして、驚くべきことに自衛隊を漸次的に解体縮小して、5万人程度の陸上部隊と海上警備組織のみにするというものである。いわゆる21世紀型のソフトパワー(のみ)による安全保障構想である。 憲法前文にいう「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」いればこういう発想も出てくるのだろう。著者からすれば、日本国民と民主主義を防衛しようとする現在の日本国の自衛隊よりも、現在反日強硬姿勢を崩さず核兵器を保有している国家の首脳の方がよほど信頼できるのだろう。 万が一、北朝鮮からミサイルから飛来した時、いったい誰がどのようにして日本国民の「平和のうちに生存する権利」を守ってくれるというのだろうか?
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自衛隊について批判的な立場から書かれた一冊。 実際にはあまり知られていない事例を挙げながら、戦う軍隊化がどんどんすすんでいる自衛隊とその方針を後押しする米軍の考え方に対し警鐘を鳴らしている。
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