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クォン・デ もう一人のラストエンペラー 角川文庫
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クォン・デ もう一人のラストエンペラー 角川文庫

森達也【著】

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クォン・デ もう一人のラストエンペラー 角川文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 角川書店/角川グループパブリッシング
発売年月日 2007/07/24
JAN 9784043625048

クォン・デ

¥220

商品レビュー

3.7

12件のお客様レビュー

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2024/02/23

植民地支配を受ける、ベトナム(仏領インドシナ)の王族として日本にわたり、そこから祖国を思いながらついぞ帰れずに亡くなった人生。報われないことも多い中、彼を支えた人たちとの交流が心に残った。犬養毅との交流は日本の昭和史を知るうえでも貴重だと思った。彼の帰国を祖国で待っていた妻トラン...

植民地支配を受ける、ベトナム(仏領インドシナ)の王族として日本にわたり、そこから祖国を思いながらついぞ帰れずに亡くなった人生。報われないことも多い中、彼を支えた人たちとの交流が心に残った。犬養毅との交流は日本の昭和史を知るうえでも貴重だと思った。彼の帰国を祖国で待っていた妻トランのその後も気になった。

Posted by ブクログ

2020/11/17

インド独立の闘士が日本に亡命して中村屋に匿われていた話を読んで感想文を投稿したら「これも面白いよ」と薦めて頂いた作品。取材で出会ったベトナム人に「僕たちの王子は日本に殺されたようなものなのになぜ日本人はそれを知らないのか」と言われてしまったテレビディレクターがその歴史を追求した作...

インド独立の闘士が日本に亡命して中村屋に匿われていた話を読んで感想文を投稿したら「これも面白いよ」と薦めて頂いた作品。取材で出会ったベトナム人に「僕たちの王子は日本に殺されたようなものなのになぜ日本人はそれを知らないのか」と言われてしまったテレビディレクターがその歴史を追求した作品。ベトナム最後の王朝である阮朝はその成立の過程でフランスの力を借りてしまった故にフランスの強い支配下にあり19世紀には完全に植民地となっていた。王朝の直系の王子であるクォン・デは独立運動の闘士の導きもあって日本に亡命し、日本の力を借りて祖国の独立運動を進めようとした。殆どが欧米の植民地にされていたアジアの国々で独立を志した人達の多くが日本に強い期待をしていたことに改めて驚きを感じた。本作でも触れられているが日本は結局、アジアの開放者を標榜しつつそのアジアの中では支配者として振る舞おうとした結果、最終的に大破綻を来してしまうのだが...後知恵ではなんとでも言えるけどももう少しうまいやり方があったんじゃないかな、五族協和とかスローガンだけではなしに実質を追求する道があったのでは、とどうしても思わざるを得ない。作者は王子をいわば中国における溥儀のように傀儡国家で利用しようとして結局飼い殺しにしてしまった日本の悪を責めつつ、ひたすら機会を待つだけで自らは何も行動を起こそうとしなかった王子のことも冷静に見つめており好感が持てる。最終的にベトナムに渡り本国での王子の足跡を辿ったラストがひたすら悲しい。これは良い作品でした。

Posted by ブクログ

2016/11/20

あるテレビの仕事の取材でベトナム青年がふともらした「僕らの王子は、日本に殺されたようなものなのに、日本人は誰もこのことを知らない」という一言をきっかけにして、戦前の文献などを調べることとなったベトナムの王子クォン・デについての伝記。日露戦争で欧米列強の一国であるロシアに勝ったこと...

あるテレビの仕事の取材でベトナム青年がふともらした「僕らの王子は、日本に殺されたようなものなのに、日本人は誰もこのことを知らない」という一言をきっかけにして、戦前の文献などを調べることとなったベトナムの王子クォン・デについての伝記。日露戦争で欧米列強の一国であるロシアに勝ったことはアジアからの期待は大きく、当時フランスの支配下にあったベトナムの人々にとっても憧れの国でもあった。クォン・デは、フランスからの祖国解放のために妻子を置いて、革命家のファン・ボイ・チャウらとともに来日した。しかし、結局は大きな貢献をすることもなく、最後までベトナムに帰ることなく日本の地で亡くなった。 本書はクォン・デの生涯を描きつつ、当時の日本と現在にも通底する日本社会の課題を浮かび上がらせるように書かれている。「クォン・デが来日してから第二次世界大戦が終結するまでの裏面史を描くことで、現在の歪な日本の姿を、少しだけ角度を変えた光源から距離を置いたスクリーンに浮かびあがる映像のように際立たせることは、当初の意図のひとつだった」と書く。 確かに第二次世界大戦に至る日本の歩みは森達也氏の問題意識と直接的に関係している。日本が戦争に突き進んだのは、ドイツやイタリアとは違った形のいわゆる日本的な「民意の暴走」によるものだと著者は解釈する。「日本は、究極的なデモクラシーを体現しながらファシズム国家への道を歩むという稀有な歴史を持つ国なのだ。 (中略) つくづく思う。日本という国は、ずっとこうだった、誰もが確信犯にならないまま、誰もが無自覚なまま、一人ひとりが全体の一部になることで思考停止して、国家としては取り返しのつかない愚策や過ちをいつのまにか犯している」 著者は、もともとはテレビ業界出身の映像の人であり、オウムを追った『A』、『A2』などの社会派ドキュメンタリーの人だ。最近のゴーストライター事件の佐村河内氏を彼の側から描いた『FAKE』なども素晴らしかった。クォン・デの話も当初は映像ドキュメンタリーのフォーマットで形にできないかと検討したが、予算もつけられず、また書籍のフォーマットの方が適しているであろうということでこのような形で進められたと。そして、そのことで著者自身「ターニングポイントになる、とても大切な作品」と言っている。 森さんらしく善と悪との二分法には抗がう。クォン・デを善人としても英雄としても描かない。逆にピュアだが、国の行く末を任せるにはやや頼りない経験不足な人物として描かれる。「この王子は批判や咀嚼の力があまりに弱すぎる。投げるのも直球なら受けるのも直球のみだ。これでは革命は成就しない」と評する。それでも、森さんの思い入れは伝わってくる。あとがきに何度も読み返し、少し涙ぐみさえもするという。 この本を書くための調査の最後仕上げとしてベトナムに行くのだが、そこで想定外のオチが付く。場合によっては全体の構成自体を揺るがしかねない事態だが、それはそれで意味があることなのかもしれない。 戦前のベトナムのこと、当時の日本とアジアとの関係、そしてもちろんクォン・デ自身のことなど全く知らなかったが、面白く読めた。

Posted by ブクログ

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