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惑星の泉 再生復活版Vol.3
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惑星の泉 再生復活版Vol.3

丸山健二【著】

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惑星の泉 再生復活版Vol.3

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 求龍堂/
発売年月日 2007/07/25
JAN 9784763007230

惑星の泉

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商品レビュー

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2021/03/15
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※このレビューにはネタバレを含みます

安部公房が賞賛した「惑星の泉」は、1986年に初出の長編。 素晴らしい作品。 240ページの長編だが、会話部分が殆どなく、格調が高い。 会話を入れず、物語だけでこの量を書くなんて、 村上春樹でも無理ではないか。 ストーリーは、、、、徴兵された夫を写真を飾って待つ妻。 その子供、兄と妹。 兄が主人公。 ある日、母親はその写真をしまってしまう。 後で分かるが、母が雇われていた会社の社長と出来た瞬間だった。 終戦、あきらめていた夫が片足を失って帰ってくる。 母と妹はそのまま社長の家で暮らし、少年は父親と一緒に森で暮らす。 社長から、金銭援助を受けつつ。 そして、森の近くで米軍の横流し品を売ったり、 売春宿をしたりしている男たちの手伝いをして、 米兵からチップを貰って稼ぐようになる少年。 そんな話だけど、文章が素晴らしいので、 一見、どろどろしているようだけど、癒されながら読んでいける。 最後近くには、現代社会が失っている父親像や地域コミュニティを無理なく感じさせてくれるちょっと感動場面もある。 久々に実力者が書いた小説に出会いました。 ******** 丸山健二「惑星の泉」より 名言集 玉音放送があった日に一機のグラマンが鳥浜市に飛来し、これ見よがしに低空で飛びまわり、ため息橋の下をくぐり抜け、勝利者の立場をさんざん誇示したあと意気揚々と引きあげて行った。その瞬間から私たち国民は好き勝手に生きていいということになり、自分のことだけ考えればいいということになったのだ。つまり、国は国民を見棄て、国民も堂々と国に背を向け、誰もあてにならなくなり、生き残った人々は何はさておき腹の足しになる物を手に入れなければならなかった。 天皇が住んでいるあの大きな街からはるばる流れてきた戦災孤児たちは、畑を荒らし、野良犬を食べ、小さな盗みを働き、気持ちを荒ませることで底力を発揮し、その日その日をどうにか生き延びていた。 ところが、冬になって寒波が襲ってくるたびにかれらのなかから凍死者が出て、石やゴミといっしょに河原にころがっているこちこちになった小さな遺体は、たぶん鳥浜市の人々の励みとなっただろう。 酒を呑むたびに彼はそう言い、何か新しいことを始めようとするときは「どうせマッカーサーが作った法律なんだ。いちいち守ることはねえ」と言った。 余ったトンカツは私が持って帰った。すると父は、酒を一滴も春まず、トンカツをおかずに飯をたくさん食べ、そしてウサギのように静かに眠った。その晩の父は鼾もかかなかったし、叫びもしなかった。また、外へ飛び出しても行かなかった。 飲み水がなくなっており、やむなく私は壜を背負って泉へ出かけ、途中でこんなことを考え、人間を殺した者にだけ酒を呑む資格があるのかもしれないなどと考え、父にはむろんその資格があるはずだと思った。 頭にDDTをぶっかけられた女たちが死んだシラミの数だけ精気を失って 無口になったからだ。

Posted by ブクログ

2015/05/23

文章から色を感じる作品。現在をたどるモノクロな本編と過去を語る支流と☆で始まる清浄な泉の章が交互に語られていく。泉の描写の章は豊かな色彩が感じられてまるで目の前に青色の湧水が現れ、真白な光が差し込んでくるようだ。

Posted by ブクログ

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