軍神 近代日本が生んだ「英雄」たちの軌跡 中公新書

山室建徳【著】

• 販売会社／発売会社: 中央公論新社/中央公論新社
• 発売年月日: 2007/07/25
• JAN: 9784121019042

商品レビュー

2024/07/15

軍神を手掛かりに当時の日本人の戦争観や意識・精神を探究する試み。明治の軍神と昭和の軍神の対比が際立っていて、当時の人々の意識の変化が感じられる。
どの話も印象的ではあるのだが、中でも真珠湾の「特別攻撃隊」の話が大変興味深い。特に「軍神」にはならなかった（なれなかった）、捕虜となり戦後帰国した生き残りの1人についてもっと知りたくなったが、本題からは外れるせいか、本書では触れられていないのが残念。
本書には全く書かれてはいない話で個人的見解ではあるが、話のオチとしては戦後にはマッカーサーが「軍神」になってしまって、人々が熱狂したということになるのかと。

2014/07/24

＜目次＞
はじめに－幻影の中の軍神たち
第1章　　軍神の誕生－廣瀬武夫と橘周太
第2章　　明治の軍神－乃木希典
第3章　　軍神にならなかった軍神ー爆弾三勇士
第4章　　昭和の軍神たち

＜内容＞
当時の記録を丹念に追いながら、軍神となっていった過程を追い掛けた労書。最初の広瀬や橘は軍部も関与しているが、それ以降は軍部よりもマスコミや世論の後押しが軍神を築いていった過程がよくわかった。多くが銅像となったが、真珠湾の九軍神辺りからなっていないんだよなぁ。逗子市立図書館。

2011/10/02

時代と共に軍神という言葉の持つ意味が変化していったことがうかがえる。

昨日見た映画「出口のない海」では、搭乗艦の不調により出撃できなくなった回天搭乗員が、自分は小作の息子であり、軍神になるより道は無いと搭乗艦の交換を申し込むシーンや、艦内の神棚に回天特攻した搭乗員が軍神として祭られているシーンが見られた。明らかに肉弾三勇士に影響を受けた世代なのだろう。