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悪役レスラーは笑う 岩波新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店/岩波書店 |
発売年月日 | 2005/11/21 |
JAN | 9784004309826 |
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悪役レスラーは笑う
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悪役レスラーは笑う
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森達也という人が「ナショナリズムについての問題提起」を錦の御旗に、すでに物故者のグレート東郷の出生に執拗に迫る姿勢自体に、何か違和感が生じた。 -つまり、本人が表に出そうとしなかった出自の“秘密”を暴(あば)くことを許していいのか?という疑問だ。 ここで簡単に東郷の背景に触れて...
森達也という人が「ナショナリズムについての問題提起」を錦の御旗に、すでに物故者のグレート東郷の出生に執拗に迫る姿勢自体に、何か違和感が生じた。 -つまり、本人が表に出そうとしなかった出自の“秘密”を暴(あば)くことを許していいのか?という疑問だ。 ここで簡単に東郷の背景に触れておく。東郷は当初アメリカ生まれの日系二世のプロレスラーと思われていたが、実は母親が中国系だったのでは?という説が著者の目に留まる。日米中の3つの国が絡み合う出生が、戦中と戦後を生きた東郷にその出自を“あえて”隠させざるを得ない複雑な事情が潜んでいたのではないか?そして、それを探ることが「在日」を取り巻く差別やカミングアウトの問題に迫れるのではないか?というのが著者の思惑といったところだろう。 実際、戦後日本社会で英雄視された力道山が、その一生において、朝鮮半島出身の在日一世であることを頑なに隠そうとしていたのは周知の事実。力道山の一生を掘り下げることで在日韓国朝鮮人問題からあぶり出されるナショナリズムの複雑な姿に焦点を当てられたのと同様に、グレート東郷からもそれらの問題を見いだそうと著者が考えたのは、一見、理屈が立つように見えるかもしれない。 しかし、力道山の出自問題に最も注目が集まった時代と今とでは、個人の尊厳や「秘密にする自由」についての考え方はまったく異なる。 そもそも前提として、森達也はグレート東郷やその遺族から、出自を公にすることについて一切承諾を受けていないのである。 これは公職にあった橋下徹氏について、その親族が同和地区出身者だと週刊誌で暴いた事案と同様に、何か極めていやな気分にさせられる。それと特にたちが悪いと思えるのは、書く当人が「正義のため」だと思い込み、まったく悪いという意識がなく、それを指摘すると大概は「どこが悪いの?」と自己弁護に走るところにある。 言わずもがなだが、暴くの「暴」の字は、暴力の「暴」と同じだ。こういう自称「ナショナリズムについての問題提起」ジャーナリストがいまだに正義感を振りかざしてのさばっていることに驚く。 グレート東郷は鬼籍に入っているので、本人に出自を公にしていいかを確認することはもちろんできないし、本書の記述によると、著者の努力にもかかわらず遺族に接触することができなかったという。だったらこんな本はグレート東郷にとって「大きなお世話」だし、承諾を得られなければ出版を取りやめる“勇気”こそ、ジャーナリストが当然持つべきものなのではないか? 私がさらに腹に据えかねるのは、著者が東郷の出自を暴こうとすることについて、プロレス全体が有する「ギミック」感をにおわせていることだ。つまり覆面レスラーの例のように、レスラーの素性を知りたがるのはプロレスファンとして必然であるかのような言いぶり …へどが出そうになった。
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ドキュメンタリー作家森達也氏の「悪役レスラーは笑う」、岩波新書、2005.11発行です。1911年生まれ、1973年没のグレート東郷を描きながら日本のプロレス界を一望した秀作だと思います。アメリカでは卑劣なジャップ、日本では売国奴、守銭奴などと呼ばれたグレート東郷ですが、力道山は...
ドキュメンタリー作家森達也氏の「悪役レスラーは笑う」、岩波新書、2005.11発行です。1911年生まれ、1973年没のグレート東郷を描きながら日本のプロレス界を一望した秀作だと思います。アメリカでは卑劣なジャップ、日本では売国奴、守銭奴などと呼ばれたグレート東郷ですが、力道山は東郷の悪口を一回も言わなかったそうです。力道山はノースコリア、東郷はサウスコリア、共にコリア出身の二人が日本のプロレスの礎をつくり、そのファイトに日本国民は熱狂し、自信と誇りを取り戻した。誰も気づかなかった哀しい国威発揚と。
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『悪役レスラーは笑う(森達也)』。 戦後日米で活躍し、圧倒的に嫌われたヒールレスラー、グレート東郷の生涯を描いた一冊だ。 リングの内外で非常に評判の悪かった東郷だが、国民的英雄でもあった力道山からは大変敬われていたという。 それは何故か――。というのがこの本の大きな縦軸となってい...
『悪役レスラーは笑う(森達也)』。 戦後日米で活躍し、圧倒的に嫌われたヒールレスラー、グレート東郷の生涯を描いた一冊だ。 リングの内外で非常に評判の悪かった東郷だが、国民的英雄でもあった力道山からは大変敬われていたという。 それは何故か――。というのがこの本の大きな縦軸となっている。ぼく自身は、これまでプロレスにはあまり興味を持ってこなかったので、グレート東郷といっても名前を聞いたことがあるような気がするくらいだ。もしかしたらそれはグレートカブキだったかもしれないし、グレート草津だったかもしれない。義太夫ではないのは確かだが。 戦後、テレビのプロレス中継は野球と相撲と並ぶ一大人気コンテンツだった。14インチの街頭テレビに2万人が集まったこともあるという。本書ではそんな戦後プロレス史の変遷にも触れている。グレート東郷についての謎は、知る人があまりに少なく、東郷の内面には迫ることなく終わってしまったのは少し残念だ。東郷については出自さえも定かではないらしい。
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