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福沢諭吉『文明論之概略』精読 岩波現代文庫 学術142
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店/岩波書店 |
発売年月日 | 2005/04/18 |
JAN | 9784006001421 |
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福沢諭吉『文明論之概略』精読
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商品レビュー
4.5
4件のお客様レビュー
福沢諭吉の『文明論之概略』を、「近代」や「国民国家」に対する批判的な視座から読みなおしをおこなっている本です。 『文明論之概略』を精読するという試みには、丸山眞男の『「文明論之概略」を読む』全3巻(岩波新書)の先蹤があり、近代主義者ないし国民国家論者とみなされる丸山の解釈に対す...
福沢諭吉の『文明論之概略』を、「近代」や「国民国家」に対する批判的な視座から読みなおしをおこなっている本です。 『文明論之概略』を精読するという試みには、丸山眞男の『「文明論之概略」を読む』全3巻(岩波新書)の先蹤があり、近代主義者ないし国民国家論者とみなされる丸山の解釈に対する著者の批判が随所で語られています。たとえば、丸山が「文明化」をいわば「未完のプロジェクト」とみなし、そうした観点から『文明論之概略』を時代を越えた意味をもつ「古典」として読み解くべきだと主張しているのに対し、「近代」を相対化する立場に立つ著者は、この書を「あくまで近代日本の黎明期の著作という歴史的な限定をともなった」著作として理解するべきだという見かたを打ち出しています。 たとえば、福沢が「文明化」を日本の課題として受け入れ、人間社会の歴史を「文明史」という観点から見ようとしたことは、文明社会のカウンター・パートである未開ないし野蛮を発見することであり、ヨーロッパ対日本の構図が、日本対中国という構図に再生産されていることを著者は指摘します。そしてこのような福沢の文明論の道筋が、脱亜論へと通じていることに目が向けられています。 近年の丸山批判と歩調をあわせるようにして『文明論之概略』の読みなおしをおこなったもので、著者の基本的な立場から予想される内容を大きく出ることはなかったのですが、おおむね興味深く読むことができたように思います。
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丸山真男の「読む」への対抗心がすごい… 福沢がかなり明快に書いているだけあって、内容に大きな違いは出てきようもないので、どうしても些末な解釈の違いを強調するようなことになってしまうのかもしれない。ただ最後の福沢の「怒り」についてはこちらの本に分があると思う。しかしながら福沢の言っ...
丸山真男の「読む」への対抗心がすごい… 福沢がかなり明快に書いているだけあって、内容に大きな違いは出てきようもないので、どうしても些末な解釈の違いを強調するようなことになってしまうのかもしれない。ただ最後の福沢の「怒り」についてはこちらの本に分があると思う。しかしながら福沢の言っていることが現代の状況でもほとんど通用するのが凄い。現在こそ切実な問題になってきていて、さらに読む価値のある本になっているのではないかと感じた。
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原典精読の体裁を取りつつ、丸山の『読む』を批判する内容。アジア関係を重視するあまり総じて脱亜論者福沢を否定的に解釈しようとする意図が感じられるし、やや深読みが過ぎるという印象もある。また、「原典にぶつかっていく」テクスト重視の丸山に対してコンテクスト重視の著者という思想史へのアプ...
原典精読の体裁を取りつつ、丸山の『読む』を批判する内容。アジア関係を重視するあまり総じて脱亜論者福沢を否定的に解釈しようとする意図が感じられるし、やや深読みが過ぎるという印象もある。また、「原典にぶつかっていく」テクスト重視の丸山に対してコンテクスト重視の著者という思想史へのアプローチの違いも感じられる。ただし、丸山解釈を「相対化」する事により、「一方に偏す」ことを回避する意味でも本書を読んでおく必要はあるだろう。
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