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岸信介 権勢の政治家 岩波新書
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岸信介 権勢の政治家 岩波新書

原彬久(著者)

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岸信介 権勢の政治家 岩波新書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2005/10/20
JAN 9784004303688

岸信介

¥220

商品レビュー

3.8

17件のお客様レビュー

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2024/04/06

岸信介という人物に対しても、どうしても「食わず嫌い」があったのだが、歴史を学ぶ上では、それはNGで、近代史の満州を知るにつけ、この人物を知ることは避けて通れない。 筆者は、岸信介の生前時に多くのインタビューをこなしていることもあり、豊富な情報を基に、客観的な評価を加えている。岸...

岸信介という人物に対しても、どうしても「食わず嫌い」があったのだが、歴史を学ぶ上では、それはNGで、近代史の満州を知るにつけ、この人物を知ることは避けて通れない。 筆者は、岸信介の生前時に多くのインタビューをこなしていることもあり、豊富な情報を基に、客観的な評価を加えている。岸信介の通史を知る上で良書だと思う。 以下引用~ ・当時の政治思想を反映して、東大では吉野作造をリーダーとする民本主義の流れと、上杉慎吾を中心とする国粋主義の勢力が厳しく対峙していた。 後者は国家の伝統精神を涼とし、国権主義を主張する木曜会へと流れ込んでいく。 また、憲法学では、天皇機関説を唱える美濃部達吉と、天皇主権説を唱える上杉慎吉とが、これまた激しいい確執をみせていた。 ・その思想的基盤が大川の大アジア主義であることを率直に認めているのである。岸のなかに理論的に構築されつつあった北一輝的国家主義、すなわち国内改造論と対外膨張論とを一体化させた国家社会主義は、同時に大川の代アジア主義によってさらに肉付けされていったといえよう。 ・しかしこの日中戦争勃発は、同五か年計画の命運を左右する満業経営の成否がアメリカ資本の大規模な導入にかかっていたにもかかわらず、日中戦争は鮎川のこのもくろいを見事に打ち砕いてしまったからである。 ・「サイパン陥落は日本の戦争継続を不可能にした」というのが岸の主張であったにたいし、「作戦的判断は軍人がやることであり、岸ら素人の関知するところではない」といのが東条の立場であった。 ・岸におけるアジアへのこうしたアプローチが、日本を盟主とするかつての彼の「大東亜共栄圏」思想ないし「大アジア主義」と必ずしも矛盾するものでないことは、やはり記憶されなければならない。

Posted by ブクログ

2020/05/17

1995年、平成6年出版。昭和の妖怪とも呼ばれた岸信介の官僚、政治家としての足跡を、本人のインタビューも交えつつ辿っている。 個人的には『安倍三代』の読了後に、「では、安倍晋三のもう一系統の祖父は、どんな政治家だったのか?」が知りたくなって読んだ。岸の政治家としての実績や、政治...

1995年、平成6年出版。昭和の妖怪とも呼ばれた岸信介の官僚、政治家としての足跡を、本人のインタビューも交えつつ辿っている。 個人的には『安倍三代』の読了後に、「では、安倍晋三のもう一系統の祖父は、どんな政治家だったのか?」が知りたくなって読んだ。岸の政治家としての実績や、政治観、哲学、信念を知る上で、読み応えのある一冊だった。特に日米安保改定の実現の前後のくだりは、現在の日本の政治にも通底する本質的な問題であるとも感じた。 優れた政治家で、若きからの俊才。満洲国に至るまでのキャリアにも表れているように、先見性にも優れていた。 だからこそ、岸が今の政局や政権をどう見るのか、やはり気になってしまう。孫を大変に寵愛したという彼だから、やはり晋三びいきのジャッジになるのだろうか。統制力のある強い国家を目指した彼にとって、その理想とは程遠く思えるのだが、どうだろう。

Posted by ブクログ

2018/09/26

「昭和の妖怪」岸信介の評伝。著者は『岸信介証言録』などのオーラル・ヒストリーの先駆者として名高い。第一章から第五章までは戦前の革新官僚としての働き、第六章から第八章までは戦後の政治活動を中心に纏めている。 岸は北一輝と大川周明に大きな影響を受けており、北の国家社会主義に、大川の...

「昭和の妖怪」岸信介の評伝。著者は『岸信介証言録』などのオーラル・ヒストリーの先駆者として名高い。第一章から第五章までは戦前の革新官僚としての働き、第六章から第八章までは戦後の政治活動を中心に纏めている。 岸は北一輝と大川周明に大きな影響を受けており、北の国家社会主義に、大川のアジア主義によって肉付けすることで岸の思想が形成された。岸は、革新官僚として「満州国産業開発五か年計画」、東條内閣では軍需大臣として戦時経済体制の策定に大きく関わっていく。 第六章では、獄中日記から巣鴨プリズン時代が描かれている。よく間違われるが、岸は「A級戦犯」ではなく、飽くまで「A級戦犯『容疑者』」だ。「獄中日記」をみる限りは、獄中で特別な配偶は受けておらず、岸自らが「不起訴・釈放」のために何らかの工作をしていたという形跡は見当たらない。米ソ冷戦下での占領政策の転換が岸の不起訴の要因となったとみるのが妥当であろう。 釈放後、岸は政治家としての人生をスタートさせる。この時に親友の三輪寿荘を通じて右派社会党に入党を打診したが、断られている話はおもしろい。岸は、保守合同に積極的に関与していく。この時に共に行動していたのが、反吉田派の鳩山一郎、石橋湛山などであり、自由経済主義者の石橋湛山と計画経済主義者の岸信介が呉越同舟していたのは興味深い。 第八章では、安保法案改定に絡めて岸内閣について描かれており、原彬久『日米関係の構図』のダイジェスト版になっている。岸政権の最大の目標は、日米安保体制の見直し、吉田茂が敷いたサンフランシスコ体制の再検討だった。安保法案改定時の強行採決に対して、党内から三木武夫、石橋湛山、河野一郎らから批判続出して倒閣の動きが出てくる。60年安保闘争史観だと安保反対運動で岸内閣が倒れたと強調されているが、自民党内の反岸の動きが忘れられていると思う。条約成立後に岸内閣は総辞職する。岸信介とは何だったのか、著者は以下のようにまとめている。 “岸はその目的において「理想」主義者である。そして、岸はその方法において「現実」主義者である。理想を追いかけるその道程で編み出される岸の戦略と戦術は恐ろしく多彩であり怜悧であり、ときには悪徳の光を放つ。理想が執念を生み、現実が機略を掻き立てる。しかも岸においては執念が機略を刺激し、機略が執念を固める。その体内に理想とおどおどしい現実を重層させ、執念と機敏を共生させる岸であればこそ、彼の毀誉褒貶もまた闊歩する。(P.239)” 岸政権での政策に関して、外交政策しか語られておらず不満はあるが、とてもおもしろかった。岸信介に対して、礼賛や毀損一辺倒にならず、ちゃんと距離感が取れていて評伝として最高の出来だと思う。岸信介という男を知るには欠かすことができない本であろう。 評点 9点 / 10点

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