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ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯 岩波文庫
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ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯 岩波文庫

会田由(著者)

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ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店/岩波書店
発売年月日 2010/04/01
JAN 9784003272015

ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯

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商品レビュー

4

9件のお客様レビュー

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2026/02/21

生まれながらに貴い御身分の方々も、運命の神がひいきにして下さるからのことであって、御自分の力量に負うところなぞいかに取るに足りないか、一方、運命の神にそっぽを向かれながらも、努力と才覚で漕いだおかげで、幸運の港にはいることの出来た連中が、どれだけのことを成しとげたものか、考えてい...

生まれながらに貴い御身分の方々も、運命の神がひいきにして下さるからのことであって、御自分の力量に負うところなぞいかに取るに足りないか、一方、運命の神にそっぽを向かれながらも、努力と才覚で漕いだおかげで、幸運の港にはいることの出来た連中が、どれだけのことを成しとげたものか、考えていただきたいからでございます。

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2026/01/27

16世紀スペインの小説 悪事を働きながらさまざまな主人のもとを渡り歩く主人公を描く作品ですが、仕える主人もろくでなしばかりで、当時の人々が毎日を必死に生きようとしている様子が感じられて、どの登場人物も憎めないお話でした。 作者が途中で力尽きたかのように第3話までは結構な密度で...

16世紀スペインの小説 悪事を働きながらさまざまな主人のもとを渡り歩く主人公を描く作品ですが、仕える主人もろくでなしばかりで、当時の人々が毎日を必死に生きようとしている様子が感じられて、どの登場人物も憎めないお話でした。 作者が途中で力尽きたかのように第3話までは結構な密度でストーリーが進んでいたのに、第4話以降がめちゃくちゃ雑なのも、昔の作品という感じで面白い。

Posted by ブクログ

2024/11/29

ピカレスクとは、スペイン語のピカロ(悪者、ならず者)から派生した言葉で、社会の底辺を生きる主人公が、その都度の機転と狡猾さで生き延びていく物語を指します。 『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』はいわゆる「ピカレスク小説」の元祖 私がこのジャンルに魅了されるのは、その徹底的な反英...

ピカレスクとは、スペイン語のピカロ(悪者、ならず者)から派生した言葉で、社会の底辺を生きる主人公が、その都度の機転と狡猾さで生き延びていく物語を指します。 『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』はいわゆる「ピカレスク小説」の元祖 私がこのジャンルに魅了されるのは、その徹底的な反英雄性にあります。 従来の文学で描かれてきた高潔な騎士や気高い貴族ではなく、むしろ社会の裏側で生きる人々の視点から世界を描く。その視点の転換には、既存の価値観を根底から覆す力があるのです。 現代で言えば、アンパンマンに出てくるバイキンマンも、ある意味でピカレスク的な主人公と言えるかもしれません。いつも策略を巡らせ、時には偽装や変装まで使って目的を達成しようとする姿は、まさにピカレスク的な性質を持っています。 しかし、バイキンマンと違い、古典的なピカレスク小説の主人公たちは、その行動の背後に過酷な生存競争という現実が存在します。 『ラサリーリョ』が生まれた16世紀は、スペイン黄金世紀と呼ばれる文化的絶頂期でした。新大陸からの富が国を潤し、芸術や文学が花開いた時代です。しかし、その繁栄の陰で、貧困や社会的格差は深刻化していました。新大陸からの富は一部の特権階級に集中し、一般庶民の生活は必ずしも豊かではありませんでした。加えて、異端審問や宗教的不寛容が社会を覆い、表面的な体面と実態の乖離が広がっていました。 このような時代背景の中で、ピカレスク小説が大きな人気を博したのは必然だったのかもしれません。1554年に出版された『ラサリーリョ』は、高位聖職者に宛てた手紙という形を取りながら、実は教会の腐敗や貴族の堕落を鋭く風刺しています。当時の読者は、自分たちの社会の矛盾をユーモアを交えて描き出すこの物語に、強く共感したのでしょう。 主人公のラサリーリョは、様々な主人に仕える中で人生の機微を学んでいきます。最初の主人である盲目の乞食は彼に容赦のない現実を教え、守銭奴の司祭は極端な倹約で彼を飢えさせ、見栄っ張りの没落貴族は虚栄心だけは一人前という具合に、彼が仕えた主人たちはそれぞれが当時の社会の歪みを体現しています。 同時代の傑作『ドン・キホーテ』と比べると、興味深い対比が見えてきます。『ドン・キホーテ』が騎士道物語を題材に理想と現実の乖離を描いているのに対し、『ラサリーリョ』は最初から現実の世界に足場を置いています。ドン・キホーテが理想を追い求めて現実と衝突するのに対し、ラサリーリョは現実に適応することで生き残ろうとします。両作品は、スペイン黄金世紀という同じ時代を、まったく異なる角度から照射しているのです。 現代の目で読んでも、この作品が提起する問題の多くは私たちの社会に存在し続けています。貧困、社会的不平等、体面の重視、制度の形骸化など。作者は匿名のままですが、おそらく当時の社会の実態をよく知る知識人だったのでしょう。その鋭い観察眼と皮肉な筆致は、今読んでも新鮮な驚きを与えてくれます。 ピカレスク小説の魅力は、その反体制的な視点にあります。社会の主流から外れた視点で世界を見ることで、私たちは自分たちの社会の本質をより鮮明に理解することができます。悪知恵を働かせ、時には手段を選ばず、それでも何とか生き延びようとする主人公の姿。それは社会の歪みを映し出す鏡であると同時に、人間の生命力の証でもあるのです。 分量は決して多くない作品ですが、読後感は強烈です。古典を読むのに慣れていない方でも、現代語訳であれば十分に楽しめる内容だと思います。スペイン文学に興味のある方はもちろん、社会や人間の本質について考えてみたい方にもお勧めしたい一冊です。そして何より、この作品は私たちに、社会の底辺から世界を見上げるという、貴重な視点を提供してくれるのです。

Posted by ブクログ