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日本アルプスの登山と探検 岩波文庫
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日本アルプスの登山と探検 岩波文庫

ウェストン(著者), 青木枝朗(著者)

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日本アルプスの登山と探検 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店/岩波書店
発売年月日 2003/10/18
JAN 9784003347416

日本アルプスの登山と探検

¥770

商品レビュー

3.8

8件のお客様レビュー

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2024/09/19

テレビ「新美の巨人たち」で放映した上高地帝国ホテルの中で女優内田有紀さんが本作品の一部を朗読した。  「谷間の空気は清く澄んで、木々の葉にはダイヤモンドのような朝露がきらめいていた。頭上高く聳える松の木の甘い香り、足の方から聞こえてくる遠い渓流のざわめき、見覚えのある高い山の頂に...

テレビ「新美の巨人たち」で放映した上高地帝国ホテルの中で女優内田有紀さんが本作品の一部を朗読した。  「谷間の空気は清く澄んで、木々の葉にはダイヤモンドのような朝露がきらめいていた。頭上高く聳える松の木の甘い香り、足の方から聞こえてくる遠い渓流のざわめき、見覚えのある高い山の頂に覗いている真っ青な小さな空ーー もうそれだけで、生きていることがうれしくなってしまうのだ。」 第5章101ページ

Posted by ブクログ

2020/03/26

ウェストンさんの古書。アルピニズム未開時代の日本での山紀行。 民家は蚤が跳び(?)「雨乞い」がまだまだ実際に行われていた日清戦争の頃。 各地の土着信仰迷信、英国人登山家への偏見・厚遇エピソードや、嘉門次との邂逅を経て、『日本アルプス』が国内外に確立される程の影響力を持った山行記録...

ウェストンさんの古書。アルピニズム未開時代の日本での山紀行。 民家は蚤が跳び(?)「雨乞い」がまだまだ実際に行われていた日清戦争の頃。 各地の土着信仰迷信、英国人登山家への偏見・厚遇エピソードや、嘉門次との邂逅を経て、『日本アルプス』が国内外に確立される程の影響力を持った山行記録の金字塔。また一つ山岳名書に出逢った。

Posted by ブクログ

2016/10/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 山仲間が面白かったとススメてくれた。この秋、槍お留守番の身として読んだ。 「真東の空には三角形の常念岳がくっきりと浮かび上がり、はるか彼方には浅間山の噴煙も立ち昇っている。南方には、手前に脊梁山系の穂高山と乗鞍の巨峰、その背後に御岳が望まれ、東南には駒ヶ岳、さらにその先に甲州の山々が毅然として立ちはだかっている。しかし何といっても、威風四辺を払うのは均整のとれた富士の円錐形で、ここから直線距離でほぼ90マイル彼方の太平洋岸にすっくと聳え立っている。」  こんな槍の山頂からの描写を読んで行った気になっておこう。  明治の頃に来日していたイギリス人宣教師。 山開きの日のウェストン祭などで有名。日本には3度長期滞在し、日本各地の山に登っては日本の山の美しさや当時の日本の風習を世界中に紹介した。本書もそうした意図で記された著者1回目の日本滞在中の山行の記録だ。  数度の来日が示すように日本に好意を抱いていたのだろう。日本の風土、自然、文明、そして日本人に向ける視線、接し方が暖かい。進んだ文明を押し付けよう、啓蒙してやろうという高飛車な様子もない。登山の楽しみを広めようという鼻息の荒さもなく、ただ自分の好きな登山を楽しみ、純粋に日本の自然の素晴らしさに感銘を受けたことを母国や西洋域の人に伝えようとする飾り気のない筆致がいい。おそらく当人は日本で翻訳されることは意識していなかっただろう。日本人に読まれると想定していなかった、それなのに悪く書いてない感じが実にいい。各地で催されるウェストン祭や、レリーフ、銅像の存在などから見ても、だれもが温かく彼を迎え入れているのが感じ取れる。  なので、淡々と山行を記すだけなので波瀾万丈も冒険奇譚も期待できない。文章にも気負いがなく、山行の部分より、むしろ前後の道中、里山での日本人とのふれ合いや、あの頃の生活、風習の記述のほうが貴重で面白いかもしれない。  明治の頃、東京大阪の都会はいざ知らずだが、地方のどこへ行っても礼節を重んじる日本人の姿がある。 「こんな田舎の人でも、礼儀にかなった挨拶を知っているのである。彼らと話しあってみると、ほんとうの優雅さというものが、単に上流階級だけの独占物ではないことがすぐわかる。」  日本人の風呂好きについても、とある村人の「今は夏場で忙しいものですから、一日に二度しか入浴するひまがなくて、汚い身体をしています」と詫びを言ったという話を面白く紹介している(冬は暇だから4,5回入るとか!)  一方、まだ未開な部分も残っていたのか、旅の道連れの同僚が医者と勘違いされ(「まじない師」として知れると)、診察希望の行列ができ「みすぼらしい民家の縁側がにわか仕立ての病室になった」と記す。 登山そのものも、レジャーという感覚すらなかった当時、山に入ると聞いた地元の人は「銀鉱を探しに来たのですか?」 「銀でないとすると、それでは水晶ですね?」 と質問を浴びせたというのだから面白い。その他、宿屋では毎回のように隣室の宴会の騒ぎに悩まされ、蚤に眠りを妨げられたり、山の猟師の天気予報(鳩の鳴き声につれてこだまが聞こえたら晴れなど)、今は失われた知恵などが記されているのも貴重だ。  日本のことを母国で紹介しようしたためか、ジンリキシャ、トコノマ、フスマ、インムスビ、キツネツキ etc.とそれらの言葉を異国人ならではの感性で捉えて解釈、表現しているところも面白い。訳者の表現も巧みで、カタカナで表記されたこれらの言葉は、きっと原書でも日本をそのままローマ字で記したものになっているのだろうと想像しながら読めた。  山の本というより、明治の日本の姿を記したタイムマシーンのような一冊で、非常に楽しかった。

Posted by ブクログ

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