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日はまた昇る 岩波文庫
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日はまた昇る 岩波文庫

アーネスト・ヘミングウェイ(著者), 谷口陸男(著者)

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日はまた昇る 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店/岩波書店
発売年月日 1992/12/01
JAN 9784003232613

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2024/06/19

エピグラフに「あなたがたはみんな失われた世代ね(ガートルード・スタインの座談より)」とあるので、みんなそれに引きずられてしまうのだろうか。 つまり、“この小説は第一次世界大戦によって喪失した数年間を持つ当時の若者世代特有の事象による物語である。したがって現代を生きる自分たちから見...

エピグラフに「あなたがたはみんな失われた世代ね(ガートルード・スタインの座談より)」とあるので、みんなそれに引きずられてしまうのだろうか。 つまり、“この小説は第一次世界大戦によって喪失した数年間を持つ当時の若者世代特有の事象による物語である。したがって現代を生きる自分たちから見れば、共感できる部分もあれば、自分事とは捉えられない部分もあり、全体としては感情移入しにくい。”と現代の読者はおしなべて考えてしまう傾向にあるということか。 レビューでも「何が言いたいのかわからない」とか「つかみどころがないストーリー」などの否定的な意見が散見される。でも私は逆の感想を抱いた。-「この作品こそ、時代や世代を超越した、外見では得られない内面に隠された人間の真の姿が、会話や駆け引きのソリッドな描写によって達成された、小説のなかの小説だ」と。 たとえばブレットを見てみよう。彼女が受けてきた評価はともすれば「性に奔放」で「浮かれている」というものだったと思う。しかしより広い視点から彼女を見れば、「束縛を見事に避け」、「自分の意志のままに自由に生きる」ことを体現し、女性としての輝きに満ちているように私には読める。この物語では何人もの男がブレットを得ようとする。しかし男のほうが無意識でも意識してでも彼女を支配したいと思った瞬間に、ブレットは指の間からするりとすり抜けるようにして距離を保つ。感情の起伏は大きいものの、ブレットはあくまでブレットであり続けられる。 主人公のジェイクもそのことは身に染みてわかっている。だからジェイクもブレットを小鳥のように捕まえようとはしない。だがブレットに翻弄されながらも彼女の内に潜む女性性を自分のものにしたいという男としての欲求もある。そのパラドックスが織りなす2人の会話や距離感は、ヘミングウェイ以外ではなかなか出会えない絶妙さだ。 しかし、この絶妙さは私が若いころには理解できなかっただろう。 私事だが年齢を重ねた今、まるで私の眼前を自由に飛ぶ蝶々のように振る舞う女性と知り合う機会を得た。もちろんその女性と肉体関係などない。だが、その女性と目を合わせ、お酒を飲みながら、とりとめのない会話をしていると、2人の関係性が高まる瞬間が生じたと感じるのだ。その状況、つまりあの胸の高まりを言葉にするのは難しい。また他人に口にした途端に色あせてしまうだろう。 ところが、この小説のブレットとジェイクとのやり取りを読めば、まさに私の言わんとしているところの男女関係が、優れた映像作家の作品のように可視化されてくるのだ。 私が最高だと感じたこの小説でのシーンをあげておこう。ブレットと2人で自動車の後部座席に乗り合わせたジェイクが、車が停止しようとした際にブレットの体の重みが自分のほうにかかってくるのを感じた瞬間の描写がそれだ。肉体的あるいは性的なことは何も起こらない。だがその瞬間は至福なものとして描かれる。このぎりぎりの線が(この年齢になってわかったことだが)すごくいい。なぜなら、それはあくまで2人の日常の枠内で起こる至福であり、非日常をあえて呼び込まなくても得られる幸福だからだ。 ここで、もう1つのエピグラフ-傳道之書から引用された、太陽のはじめとする万物の永久不変の運動についての記述-を思い出してほしい。 ロストジェネレーションと言われながらも、ブレットやジェイクを含めた彼ら彼女らすべてが究極的には私たちと同じ法則によって動き、感じているのだ。つまりヘミングウェイは自己流の小説技法を使いながらも、自分と同じ世代だけに働きかけて共感を得て良しとするような小説を書く意図は全くない。逆にきわめてオーソドックスな人類普遍の法則を小説によって突き詰めようとしたのだ。それが「The Sun Also Rises」というタイトルに象徴されているということだ。これほど的を得たタイトルがあるだろうか。 なお、ヘミングウェイは20代でここまで到達した。日本で安直に小説家を名乗る凡百の作家たちよ。ヘミングウェイを前に、自分たちが同列だと胸を張って言えるか?

Posted by ブクログ

2020/02/03

外形の描写に終始した淡白な文体であり、登場人物の心理はちょっとした仕草やセリフから読み取るしかない。直接的でない表現であるからこそ、読者はその背景にあるものを積極的に想像しようとし、自分自身を立体的な像として登場人物の中にみることになる。 ブレットに恋をしつつも性的不能であるこ...

外形の描写に終始した淡白な文体であり、登場人物の心理はちょっとした仕草やセリフから読み取るしかない。直接的でない表現であるからこそ、読者はその背景にあるものを積極的に想像しようとし、自分自身を立体的な像として登場人物の中にみることになる。 ブレットに恋をしつつも性的不能であることからくる無力感をどうすることも出来ずにいるジェイクが、闘牛の中に求めているものはやはり戦争そのものなのだろうか。ロメロのように闘牛士としてその場に立つことは不可能であり、その疎外感がナルシシズムに転化されている。去勢牛とジェイクが重なる。失われたものを取り戻すことは出来ないのだ。しかし、だからこそ、その若者の姿が胸を打つ。 以前読んだ高見浩訳の『武器よさらば』では、風景描写がなかなか頭に入ってこなかったためにヘミングウェイを避けていたが、その印象が塗り替えられた。とても読みやすかった。

Posted by ブクログ

2014/08/27

文豪の古典的名作ということで少々身構えていたが、当時の若者の熱狂的な反響をよんだという煽り文句もさもありなん、意外にも面白くすらすらと読んでしまった。 登場人物たちとは時代背景も境遇も違いすぎるので共感は別にしなかったが、若いっていいよね、楽しいねと思わせてくれる。 簡潔な原文に...

文豪の古典的名作ということで少々身構えていたが、当時の若者の熱狂的な反響をよんだという煽り文句もさもありなん、意外にも面白くすらすらと読んでしまった。 登場人物たちとは時代背景も境遇も違いすぎるので共感は別にしなかったが、若いっていいよね、楽しいねと思わせてくれる。 簡潔な原文に輪をかけて簡潔な訳文も良い。

Posted by ブクログ

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