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この土の器をも 道ありき 第二部 結婚編 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社/新潮社 |
発売年月日 | 2003/04/01 |
JAN | 9784101162041 |
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この土の器をも 道ありき 第二部 結婚編
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商品レビュー
4.2
30件のお客様レビュー
第一部から第三部と3冊の文庫本が在る。その中の第二部である。少し前に第一部を読了していて、「続き」に相当する部分も多い訳で、興味深かった。 美瑛を訪ねた際に、十勝岳の噴火災害の経過ということで話題になる小説の『泥流地帯』を手にしてみて、三浦綾子作品に関心を抱くようになった。何作か...
第一部から第三部と3冊の文庫本が在る。その中の第二部である。少し前に第一部を読了していて、「続き」に相当する部分も多い訳で、興味深かった。 美瑛を訪ねた際に、十勝岳の噴火災害の経過ということで話題になる小説の『泥流地帯』を手にしてみて、三浦綾子作品に関心を抱くようになった。何作かに触れた中、その来し方を綴った内容の『道ありき』が佳かったとする知人の感想を聞き、比較的短い期間で本作に触れる機会を設けてみた。『泥流地帯』について聞いてから手にする迄にはかなりの時日を要したと思うが、『道ありき』については何時迄も放置せずに、聞いてから然程の時日を経ずに手にしたのだった。 『道ありき』は、三浦綾子の自伝と言われている。が、作品を読む中では「小説を発表し、作品が好評を博して名を成した主人公が、御自身の来し方を振り返っている物語」という「純粋な小説」というような感も抱く。そういう雰囲気が好いように思った。 第一部では、戦前に就いていた小学校教員の仕事から退いた戦後に病を得てしまい、婚約を破棄して療養生活に入り、そうした中での様々な出会いを経験して来た様子が綴られる。そして障害の伴侶となる三浦光世と出会い、「病気がよくなったら…」と申し出を受け、何年も経って結婚をした。 この第二部では、結婚をした後の暮らし振りと、「小説家 三浦綾子」が世に出る契機となった『氷点』を綴って新聞社の懸賞に応募し、入選する迄の時期を振り返っている。 長く療養生活の中に在って、外を歩き廻っていないので、外に出れば眼に留まったモノに一つずつ感銘を受けて「あれ!」と感嘆して、傍らの「ミコさん」に話し掛ける綾子である。その「傍らに話し掛ける人が在る」ということの「歓び」が溢れている様子が凄く強く感じられた。 現代の言い方では「1K」というような感じになると思うが、1部屋に台所や御手洗が在るという小さな家に三浦夫妻は暮らし始める。そういう中で、以前から縁や交流の在った人達との間で、新たに出会った人達との間で色々な出来事が重ねられる。やがて家主の都合も在って、夫妻は移転を余儀なくされる。そして色々と経過が在って、思い切って小さな家を建て、綾子は家で雑貨店を営むようになって行った。 そういうような経過が、夫妻が詠んだ短歌も交えながら綴られる。三浦綾子は短歌の同人誌に参加して作品を発表するようなことは続けていた。そして雑誌の募集に応じて綴ったエッセイが誌面に掲載されたという経過も在った。が、特段に「文学的履歴」という程のモノは無かった。文学の世界では無名な、客観的に言って「旭川の雑貨店のおばちゃん」という以上でも以下でもなかった。そこから思い立った小説を綴り、「12月31日消印」という締切だったので、その日に郵便局へ走って懸賞に応募した。それが入選した訳だ。 本作を読み進めると、御夫妻や身近な人達の来し方に纏わる挿話が色々と出ていて、「あの作品の、あの人物の設定に反映?」というような内容も在り、そういう「小説作品のバックステージを観る」という面白さも在るかもしれない。 しかし、そういうこと以上に心動かされるのは「御夫妻の生き様」というような事柄だと思う。『道ありき』という題名そのものに様々な意味合いは込められていると思うが、自身が感じるのは御夫妻が生きる“道”を見出して、歩んで来た“道”の途中で少し振り返っているというような様子だ。長い病気療養を経て、何事にもとにかく熱心な綾子と、彼女を包み込むように傍らに在る光世の御夫妻、互いに「傍らに話し掛ける人が在る」ということを「生きる歓び」のようにしている生き様と感じられた。 出会い、紐解くことが叶って善かったと強く感じた作品であった。広く御薦めしたい。
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評価を下すような内容ではないですが 前作の「道ありき」と比べると緩やかなペースで 夫婦の愛を中心に描かれています。 三浦綾子さんというよりも、夫の光世さんの誠実さや真摯な思想を感じる事ができました。 人生自体が小説のようで、読んでいて身の引き締まるような思いでした。 病気や生...
評価を下すような内容ではないですが 前作の「道ありき」と比べると緩やかなペースで 夫婦の愛を中心に描かれています。 三浦綾子さんというよりも、夫の光世さんの誠実さや真摯な思想を感じる事ができました。 人生自体が小説のようで、読んでいて身の引き締まるような思いでした。 病気や生活の多忙さの中で 文筆活動をするバイタリティに脱帽。 信仰的使命感が無いとなかなか出来る事では無いと思いました。
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〈この直後東京から、ペンフレンドの木村美和子さんが訪ねて来られた。 彼女は物理学者で、わたしたちと同じキリスト者だった。 北大でひらかれた学会に出席のため札幌に来、その足を旭川まで伸ばしてくださったのだ。 わたしが土地を借りたことを告げると、そこを見せてくれと彼女は言った。 言わ...
〈この直後東京から、ペンフレンドの木村美和子さんが訪ねて来られた。 彼女は物理学者で、わたしたちと同じキリスト者だった。 北大でひらかれた学会に出席のため札幌に来、その足を旭川まで伸ばしてくださったのだ。 わたしが土地を借りたことを告げると、そこを見せてくれと彼女は言った。 言われるままに、 わたしは案内した。 彼女はわたしの土地の前に立ち、 真実こめて祈ってくれた。 「三浦さんご夫妻が、 この土地 で、 神の栄光を現わすことができますように。 神様どうかお二人を御祝福ください」 今も彼女の真実な祈り が、時折り耳に鮮かに甦えることがある。 この祈りは、わたしの生涯忘れることのできない祈りの一つである。〉p125 他者のために真実に祈ることができる人がいる、そのことに深い驚きを覚えた一節。 〈七月十一日水曜晴無事勤めた。 毎日無事勤められるのは幸福だ。 祈りの時間も幸福だ。〉p128 境地。どうやったらこの境地に達することができるのだろうか。
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