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逆説の日本史(14) 文治政治と忠臣蔵の謎-近世爛熟編
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2007/06/29 |
JAN | 9784093796842 |
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逆説の日本史(14)
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商品レビュー
3.8
5件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
2007年刊行。 内容は斬新さに欠け、かつ通史にさほど関係のない叙述も散見され、付箋紙不要なほどスカスカレベルであった。日本海呼称論も清新さなく、いわゆる右にしてはイマイチ。というより、元データ・参照史料を開示してもらった方がよほど情報共有が可能だ。当然、叙述のコンパクト化にも資するはずなのだが。
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忠臣蔵のデタラメ、徳川綱吉の名君ぶり、大阪商人、明や琉球との関係、朱子学の観点も踏まえて、江戸時代初期の歴史がよく分析されている。
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14巻は江戸時代の文化を中心に話が進む。 まずは綱吉の政治だ。日本の土着の文化は狩猟を基本とする縄文文化である。『動物を殺す』文化であるから、血に対する差別意識などは全く無い。典型的な狩猟文化の宗教であるキリスト教では、最後の晩餐のワインとパンをキリストが『自分の血と肉だ』といっているぐらいである。ところが、そこに、大陸から、動物を殺さない農耕文化が入ってきた。これが弥生文化だ。弥生文化の方が生産性が高く、縄文の民は東へ東へと追いやられた。もっとも少数の人々は西に残らざるを得なかったが。そしてここでは『皮をはいだり、肉を食べたり』するという狩猟文化としては当然の行為が『血のケガレ』であり『死のケガレ』につながるものとして厳しく差別されるようになった。この弥生文化の頂点に立つのが天皇家であって、天皇家には農耕儀礼はあっても『血と肉』を扱う儀礼は一切無い。 しかし、その天皇家も創成期には中大兄皇子(天智天皇)のように剣を取って戦わざるを得なかった。ところが世の中が平和になってくると、朝廷では『ケガレ』から一切離れようという意識が強くなった。もともと『忌』という発想は、公家文化、朝廷文化の産物である。そもそも中国から来たものだが、中国では、親の死を悲しむ行為すなわち『孝行』の一環として捉えられていたのに対し、日本では肉親といえども死のケガレに同化したものは『忌む(避ける)』という神道的つまり弥生文化信仰的な側面が強調されるようになった。平安時代には御所の庭に鳥の屍骸が落ちていただけで、大騒ぎをして一日中ハライ・キヨメの儀式をやっていたほどである。このあまりにも自分の手を汚したくない人々はついに、国家の軍事権、警察権も手放すようになった。そんなものに触れれば、ケガレるからだ。そこで武士という縄文文化の末裔ともいえる人々が国家の軍事権、警察権を握る形で権力を得て朝廷に対抗するようになった。まさに、現在大河ドラマで見ている清盛と公家のような感じで始まったのだ。 ところが、その武士の時代であるはずの江戸時代中ごろから、首を斬るのが仕事だった武士が公家の真似をして、自分たちもケガレから遠ざかるようになった。いつそのような意識改革がされたのか。 それは、名君徳川綱吉の時代だ。その意識改革の元となった法令こそが『生類憐みの令』だ。 人を斬る事が当たり前の社会が、動物の命さえ重んじる優しい社会へと変わった。宗教ではなく政治の力でだ。こんなことを実現した人物は、世界の中でもそんなにいないのではないか。生類哀れみの令は、世に言われるのは、悪法であり、それを発行した綱吉も当然大悪人との評判がまかり通っているが、それは違うと著者は言う。綱吉は命が紙の様に軽い戦国から、命は地球よりも重い時代への橋渡しを為した人物だと思う。 このことは、単に著者だけではなく、当時、日本の政治を見ていたドイツ人博物学者エンゲルベルト・ケンペルは日本誌という本をまとめた。それを現代のペイリー女史が分析したのであるが、綱吉の時代の政治は、まさに、社会的弱者や貧困者を保護する施策をたくさんうっている。たとえば、捨て子が法律で禁止されたことはもとより、親が子供を育てることが出来ない場合、親に代わって役人がその子供の世話をする義務をおったり、乞食や流民に対しても、役人は食事や宿泊所の世話をしなければならなかったり、牢屋の囚人にさえ、風呂や換気の義務を課したり、旅人が旅先で病にかかると、治療を施すことが法律で定められたり、この時代に定められた諸々の法律は、近代の社会福祉立法の先駆的なものだったと言えるだろう。これらの行政の実態を頭に入れた上で、真に、生類憐みの令という法律を捉えなければならないのだ。
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