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翔る ツルの渡り追跡調査写真集
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 読売新聞社/ |
発売年月日 | 1997/04/05 |
JAN | 9784643970272 |
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翔る
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鳥の渡りの調査に関する写真集です。 三部構成で一部はアネハヅル、二部はマナヅルとナベヅル、三部はタンチョウとソデグロヅルの追跡調査をまとめています。 大まかに言って、いずれも発信器をツルに取り付け、信号を衛星で追跡する、といった形の調査です。1991年~1996年の調査なので、...
鳥の渡りの調査に関する写真集です。 三部構成で一部はアネハヅル、二部はマナヅルとナベヅル、三部はタンチョウとソデグロヅルの追跡調査をまとめています。 大まかに言って、いずれも発信器をツルに取り付け、信号を衛星で追跡する、といった形の調査です。1991年~1996年の調査なので、現在の機器は、より高度に、特に発信器はより軽量化されたものになっているのではないかと思います。 ただおそらく、取り付ける際の苦労は今もさほど変わらないのではないでしょうか。本書では、餌に眠り薬を混ぜたり(!)、換羽期の飛べない時期に捕獲したりして取り付けています。 本書では研究概要の解説と多くの写真で渡り鳥の軌跡を追います。 アネハヅルはツル科の中で最も小柄(体長95cmほど)です。この鳥のすごいところは、その小さな身体でヒマラヤを飛び越える渡りをすることです。カザフスタンやロシアから、インドを目指し、8000m級の山並みのはるか上空を飛ぶのです。上昇気流を捉えるのですが、一度ではうまくいかず、強風に吹き戻されることもあります。それでも時を見て、集団で渡っていきます。 マナヅルとナベヅルは鹿児島・出水市が冬の飛来地として知られています。集まった際の写真はまるでピーク時の海水浴場のようです。このツルたちが春になってどこへ帰るのかは、実は調査が行われるまではっきりとわかっていませんでした。本書の調査では朝鮮半島を経由して、ロシアのダウルスキー、ヒンガンスキー、ムラビヨフカへと渡っていることがわかりました。ムラビヨフカでは、この調査の結果、新たに民間の自然保護区が設置されることになりました。 タンチョウとソデグロヅルは個体数が少なく、絶滅の危険性が高い鳥です。日本でも見られますが、この調査では、大陸の渡りを追っています。その結果、やや内陸のヒンガンスキーに住むタンチョウは、渤海沿岸を経由して揚子江下流域で越冬すること、中ロ国境のハンカ湖に住む群れは朝鮮半島で越冬することが判ってきました。ロシア北部に住むソデグロヅルははるか南の揚子江中域にある淡水湖を目指します。 多くの種類のツルが越冬地や中継地として利用している湿原もあり、こうした場所はさながらターミナルの様相です。ここが開発などで失われると、渡りには多大な影響が出そうです。 全般に言えることは、渡り鳥は広範囲を移動するため、研究・保護には、国家間の協力が欠かせないこと、また、環境や平和が維持されなくては渡りもまた危険に曝されることです。繁殖地・中継地・越冬地のいずれの環境が悪化しても、また経路のどこかが遮断されても、渡りは途切れてしまいます。開発との兼ね合いなど、難しい問題もありますが、鳥にも人にも納得できる落としどころはきっとあるはず。地道な調査がそれを支えていきます。 大空に渡り鳥が舞う。そんな姿が消えてしまうことのないよう願っています。
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