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錨をあげて 新島襄を語る3
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 思文閣出版/ |
発売年月日 | 2007/02/13 |
JAN | 9784784213429 |
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錨をあげて
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タイトルどおりの旅立ち・始まりに関するテーマが9編(新島襄4編、熊本バンド1編、新島研究4編)、そして新島襄の人間観・教育観に関するテーマが3編の構成となっている。内容が多岐にわたるため、「教育論」に絞って記したい。 「リベラル・アーツ」という言葉がある。日本語に訳すことは不可能だ。 本書によると、「人間をリベラル(自由)にする教育、すなわち「自由人」を育成しようとする教育の営み」(p.11)であるという。やはり難しい。そこで、本書を踏まえて、リベラル・アーツの意味について考えてみた。 リベラル・アーツは、中世以降のヨーロッパの大学制度において、知識労働者(聖職者、医師、法律家)が持つべき基本的な技能と見なされた7科(文法学・修辞学・論理学の3学、算術・幾何・天文学・音楽(物理学)の4科)を指す。すなわち、言語系と数学系の学びを通して、論理的にかつ精緻に物事を考え、確実な根拠によって本当であると認められるもの(真理)を見つけ、説得力を持って分かりやすく発信するための技能ではないだろうか。この修得により、偏見、差別、先入観、あるいは悪弊や狭隘さから解放された(Liberal)ものの見方、考え方が可能になる。リベラル・アーツは、そのような技能(Arts)を持った人を養成するための科目(技能)群と考える。「真理は汝を自由にする(VERITAS LIBERABIT VOS)」という聖書の言葉に通じる学びである。 しかし新島襄は、「知育」だけでは不十分と考える。キリスト教を「徳育」のベースにする学校の必要性を説いた。「人の偉大さは、学識だけでなく私心のなさに現れる。多くを学んだ者は、学んでいない者よりもしばしば自己中心的になる」からである。新島の書に「真理之道、愛を以って之を貫く」がある。その愛は「人間の愛」(偏頗な愛)ではない。「神の愛」「キリストの愛」である。従って、新島襄は、「他者のために捧げる」こと。すなわち、奉仕や献身、自己犠牲といった精神も大事にしようとした。 これと関連して、「良心」教育の重要性である。本書で紹介されている、サン・テグジュペリの『星の王子様』は、目に見える現象に囚われがちな人間に警鐘を鳴らす。現象の本質を見抜き、対象に価値を与えるのは、私たち自身の心であり、目に見えない心の働きこそが重要である、と説く。「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。大切なことは、目に見えないんだよ」は有名なフレーズである。善悪・正邪を判断し、正しく行動しようとする心の働きが大切になってくる。 以上のような「心の教育」は、昨今のグローバル社会の中、プロテスタンティズムが世界スタンダードとなりつつあることを考えると、今こそ重要な示唆を与えてくれているような気がするのである。
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