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忘れられた地域史を歩く 近現代日本における差別の諸相
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 大月書店/大月書店 |
発売年月日 | 2006/10/23 |
JAN | 9784272520770 |
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忘れられた地域史を歩く
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殴りつけるほどにがっつりと、差別や構造的暴力を糾弾する。 相対主義のぬるま湯につかりがちな「腰抜け」に対して、活を入れるような本である。 とくにハンセン病の研究に対しては頭がさがる。 それだけに、「これはおかしい」という点ははっきりしておきたい。 第10章で韓国のソロクト(...
殴りつけるほどにがっつりと、差別や構造的暴力を糾弾する。 相対主義のぬるま湯につかりがちな「腰抜け」に対して、活を入れるような本である。 とくにハンセン病の研究に対しては頭がさがる。 それだけに、「これはおかしい」という点ははっきりしておきたい。 第10章で韓国のソロクト(小鹿島)のハンセン病隔離施設を訪れている。P192の「断種台」の写真といい、無残である。 しかし、その説明はおかしい。 「日本の敗戦により、朝鮮が植民地から解放されたあとも、ソロクトの人々は隔離から解放されなかった」(P193)とある。そうなのだろう。 なぜ解放されなかったかについての説明がおかしい。論理的整合性がない。 「われわれの怨みを日本政府に伝えてほしい」面と向かってこう言われれば、その重さは分かる。 「(朝鮮戦争により疏勒とは患者の隔離を維持できなくなったので)光田健輔は、この事実を日本の隔離強化に利用する。」実際そうだったのだろう。 その通底には本質的に通底する何かがあるというのも分かる。 しかし、日本敗戦後のソロクトのハンセン病患者隔離は韓国政府の政策である。 坊主憎けりゃ袈裟まで憎いというのでは、光田健輔と著者は、立っていいる地平は変わらないのではないのか? 終章「差別の連鎖を断て」で、著者は、癩隔離政策と差別部落の関係性に斬りこむ。「特殊部落調附癩村調」である。 これは、本の最後で息を呑む思いだった。「解題」とでもいいたくなる。 それだけに、皮肉に思うのだ。光田健輔は、「本質的に通底する何か」を見たのだ。そしてそれを暴き出し、現前し、意識させ、さらけだし、政策にのせるためには、多少の無理や論理的な非整合性には目をつぶった。それは著者のソロクトと同じだ。 「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。」 著者はこうなったのではないか? この本では、著者は横浜や沖縄の売買春にも触れている。富山のイタイイタイ病にも。たしかにそれは問題意識として触れるに足る。特にそういった問題について真正面から切り込む「歴史学者」が少なくなったのならば必要かもしれない。 しかしそれは、私には回り道に思える。 光田健輔および、その周囲(内務省など)の政策決定過程に切り込むべきではないかと思う。 そしてこれは、素人意見だけど、ソロクトにつながると思う。 的が浜を焼いた心理が、そうなるに至った経緯が、「光復後」の韓国にもあったのではないか。そこまで行かないと、「われわれの怨み」に応えられないのではないか、私はそう思う。
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