ヘル 文春文庫

筒井康隆【著】

• 販売会社／発売会社: 文藝春秋/文藝春秋
• 発売年月日: 2007/02/10
• JAN: 9784167181154

商品レビュー

2025/01/02

落合信照、元山勇三、内田武の三人が小学校の朝礼台のうえで遊んでいたところ、押し出された武がケガをしてしまい、障がいを負うことになります。その後、武は交通事故でこの世を去り、ヤクザになった勇三は斑鳩組との抗争で殺害されて、信照だけが七十歳の老境に達します。

死んだ武と勇三は、「ヘル」と呼ばれる異世界にやってきます。「ヘルとはつまり神や仏の不在のことだから信仰心のない日本人にとっては現世もここもたいして変らない」とされるこの世界には、武に妻を寝取られた佐々木という男や、舞台の奈落に落ちた歌舞伎役者の市川紺蔵、不倫スキャンダルを記者たちに追求されたあげくエレベーター事故で命を落とした柴田まゆみと鳥飼与志夫などもやってきます。

「ヘル」の世界は、現世の人びとの夢や、関係者たちのつどうクラブ「ナイト・ウォーカー」などを通じてこの世に通じて生きている者たちの狂乱を引き起こし、一方勇三が殺害されたあとも斑鳩組に追われる部下の服部と伊達は非道なリンチに遭い、混迷をきわめた著者ならではの作品世界がくりひろげられます。

巻末には、想定を担当している横尾忠則との対談と、著者へのインタヴューが収録されています。

2023/04/18

死後の世界とはこんなものかと思わせてくれる、苦痛や死の無い事の説明が、何ともこれは筒井ワールド以外にない、来世を垣間見たように思え死の恐怖も薄らぐでしょう。

2022/08/04

横尾忠則の装丁に惹かれて買ったやつ。
途中まで読んでちょっと間あけてまた読んだので誰が誰だかわからんくなっちゃて、そしたら知らん間に七五調に突入してて、おもしろかった。
本編外の横尾忠則との対談とかQ&Aがかなり良かった。