天界の道 吉野・大峯 山岳の霊場

永坂嘉光【撮影】

• 販売会社／発売会社: 小学館/小学館
• 発売年月日: 2006/11/20
• JAN: 9784096820063

商品レビュー

2011/08/29

吉野・大峯から熊野三山への霊場を中心とした、人と自然の関わり方、計り知れない存在への畏敬の念を、修験者／道を通して捉えた写真集です。
物語は「吉野・大峯」が世界遺産登録された記念に、全国から修験者が集結（日本仏教史上初）するところから始まります。

岩場や霧の道、吹き付ける風、雨露、雪、霧、美しい風景というだけでなく修験道のある場として見たときに、幾年もそこにある自然やその尊さ、時間の流れが多くのものに投影されているようです。
また、それに応えうる力をもった丁寧に撮影された写真だと感じました。

修験の場、神事に対するドキュメンタリーとして非常に素晴らしい。真剣なまなざし、今にも読経の声や、舞い上がる煙の匂いが、
読者をそっとつつみそうです。

永坂 嘉光氏は、長年、高野山で撮影をされており、次第に、高野山開山以前の日本各地の山の信仰に、興味を持つようになったそうです。写真集の後半では、全国の山岳霊場も紹介されています。

山／川での営みを通し、自然に対する畏敬の念が生まれ、
信仰の心が育ったのかもしれません。

この本を通して、人として自然に向き合うときの、（向き合ってきたはずの）一つの姿を感じることができました。昔話としてではなく、遠くのこととしてでもなく、身近なこととして。