“のりちゃん"の銀河鉄道

河田哲【著】

• 販売会社／発売会社: 文芸社ビジュアルアート
• 発売年月日: 2007/05/01
• JAN: 9784862642233

商品レビュー

2012/09/23

『”のりちゃん”の銀河鉄道』について

[オセロ３級の中年男]

　『”のりちゃん”の銀河鉄道』は大阪府豊能郡豊能町吉川地区を舞台にした童話作品です。しかも、同町同地区の実話を基にして作られた創作童話作品なんです。というのは過去にＮＨＫや民放のニュース番組やワイドショー番組で何回も放映され、紹介されてすっかり全国にその名前が知られるようになった同町同地区在住で”桜谷軽便鉄道”という実用軌道の個人鉄道を自宅の庭の周囲に敷設なされて、更にはそれ以外に御自宅の近辺に新たに開拓された土地を御購入なされて、そこでも実用軌道の個人鉄道を敷設されて、今でも月に一度運転試乗会を開かれて鉄道ファンの方を中心に多くの方々を楽しませておられる持元　節夫（もちもと　せつお）氏の実用軌道の個人鉄道の建設における個人業績を元にして作られた創作童話作品なんです。

　物語は同氏をモデルにした豊能町吉川地区の住宅地内に住む大の鉄道好きの岸本　和夫という７５歳のおじいさんと近所に住む同じく大の鉄道好きの豊中自由学園という私立小学校に通う小学校四年生の中沢　法子（通称　”のりちゃん”）との心の交流を描いております。ふとしたことが切欠で自宅の庭の周囲に岸本さんが実用軌道の個人鉄道を敷設したことから芽生える二人の心の交流が始まります。

　作品の舞台は勿論、あくまで大阪府豊能郡豊能町吉川地区が中心ですが、作品の初めの辺りでは京都府亀岡市や京都市嵐山地区を舞台として登場します。亀岡市の二大観光資源である保津川下りや嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車も登場し、また、嵐山地区での岸本さんと”のりちゃん”との人力車による嵯峨野散策の場面も登場して、大変魅力あるものになっております。

　この作品の作者である河田　哲（かわた　あきら）氏も本の著者のプロフィールを拝見した限りでは持元氏と同様に豊能町吉川地区在住の方のようにお見受け致します。同じ同町同地区在住の町民の一人として同氏の実用軌道の個人鉄道建設の業績を更に文学作品という形にすることによってより多くの人々に”桜谷軽便鉄道”に親しんでもらおうという趣旨の元で創作されたようです。

　作品の内容のレベルは大体、小学校中学年以上だとは思いますが、鉄道ファンの方々を中心に更には中学生、高校生、大学生、社会人の方々がお読みになられても大変読み応えのある、魅力ある児童文学作品になっていると思います。