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時間割 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社/河出書房新社 |
発売年月日 | 2006/12/20 |
JAN | 9784309462844 |
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時間割
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商品レビュー
3.8
6件のお客様レビュー
読みながら興奮してにやにやしてしまうような、そういう小説を読むことの喜びをひさしぶりに味わった。 タイトルの時間割という言葉がいったいなにを指すのかもわからないまま読みはじめると、日記(現在の時間の流れに属しながら過去を記録する)の形式でこの物語が進められることを知り、過去の一日...
読みながら興奮してにやにやしてしまうような、そういう小説を読むことの喜びをひさしぶりに味わった。 タイトルの時間割という言葉がいったいなにを指すのかもわからないまま読みはじめると、日記(現在の時間の流れに属しながら過去を記録する)の形式でこの物語が進められることを知り、過去の一日が現在の数日にわたって語られること、あるいは逆に過去の数日が現在の一日のうちに語られること、そうした時間の自在な伸縮から、この小説は時間そのものをまなざすような物語なのではないかという予感がわいてくる。 その予感は第二部になると現在の出来事をあわせて記述するという方法でより明瞭になり、このあたりは解説でもわかりやすく触れられていたが、第四部に至るとこの日記自体を振りかえり、そこに新たな意味づけを行なっていくといった作業が展開される。 ひとつの出来事はまた別の出来事を呼び起こし、それらが時間を行きつ戻りつして連関し合う。それはまた海から記憶を引き摺り出すことでもあり、幾度にもわたって時間と結びつけられる水の比喩は、この都市にながれる黒い川、絶えず窓を打つ雨へと繋がる。 とりわけ第一部の、この陰鬱な都市の有り様を探索してゆくパートはとにかく引きこまれる。ブレストンの町は数々の生物的な比喩に覆われ、その息遣いがこちらにまで迫ってくる。すべてはこの町の器官なのだ。そうして冒頭の滴に灯りの映る描写から反復される水と炎のイメージが都市を、あるいはルヴェルを飲みこんでゆく。 これだけでもうかなり嬉しいのだけれど、さらにこの小説の根底に横たわる存在としてふたつの神話があり、それは大聖堂、姉妹、探偵小説(これらはいずれも対をなす存在として鏡に象徴される、ということは解説で語られてしまった)といった幾つもの要素を支え、結びつける。この探偵小説『ブレストンの暗殺』は作中作的な役割を果たしながら、『時間割』という小説自体に探偵小説的な枠組みをもたらし、しかも順行=逆行の構造として呼応する。 ……と、深い考察があるわけでもなく書かれていたことをほとんどそのまま記録しただけなのにずいぶんな文字数になり疲れてしまった。ほかにもよかった場面とか好きな要素とかたくさんあるんだけど、ほんとうになにより疲れてしまったので、そのうちまた読んでじっくり考えられたらと思います、きっとまた読みますので、、、、
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ある事件。事件といってもフィクションの世界ではたいした事件ではないのだが、ともかく、その事件をきっかけに時間の潮流が二層三層と多層化していくあたりがこの作品の醍醐味か。 ただ、自分はまださわりですらない第1部が最高にいいと思った。読者はフランス人であるジャック・ルヴェルとともに...
ある事件。事件といってもフィクションの世界ではたいした事件ではないのだが、ともかく、その事件をきっかけに時間の潮流が二層三層と多層化していくあたりがこの作品の醍醐味か。 ただ、自分はまださわりですらない第1部が最高にいいと思った。読者はフランス人であるジャック・ルヴェルとともに濃霧と煤煙に包まれた都市ブレストンへ、深夜のハミルトン駅へと降り立つことになる。赤い17番バス、泥炭の泡立つ黒い川、大聖堂、飾り窓やブリキでできたビールの看板。頻繁に風景ショットが挿し込まれ、あたかも自分もこの街を彷徨っているかのような陰鬱な気分にさせられる。 是非、お試しあれ。
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架空の街に対する憎悪はどこから来たのか?それは日記を書く根拠というより、日記を書くという行為がそれを生み出したよう。
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