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日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか 講談社選書メチエ386
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2007/04/10 |
JAN | 9784062583862 |
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日本軍のインテリジェンス
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商品レビュー
4.1
28件のお客様レビュー
加藤陽子の本に紹介があり、図書館より借り出して読んでおります。帝国海軍、陸軍、の英国、中国等へのインテリジェンスは、一定のレベルにあったことが良く判ります。英国の暗号、米国の暗号も解読しているとは、吃驚、問題は、現場が集めた情報が、国家の運営に生かす体制にはなっていないという指摘...
加藤陽子の本に紹介があり、図書館より借り出して読んでおります。帝国海軍、陸軍、の英国、中国等へのインテリジェンスは、一定のレベルにあったことが良く判ります。英国の暗号、米国の暗号も解読しているとは、吃驚、問題は、現場が集めた情報が、国家の運営に生かす体制にはなっていないという指摘もあり、何やら、現在の会社運営(国家運営でも同じですが)における問題点の指摘のようにも読めました、情報(インテリジェンス)、古くて新しい課題であります、☆四つです。
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「日本軍の」という枕詞が付いているが、日本軍の情報機関の詳細という枝葉末節で終わらない。 情報政策における日本軍の組織的欠陥を踏まえつつ、インフォメーション(=無加工情報)とインテリジェンス(=加工済み情報)の違い・戦略立案者と情報提供者の間の適切な距離感・中長期的戦略と短期的...
「日本軍の」という枕詞が付いているが、日本軍の情報機関の詳細という枝葉末節で終わらない。 情報政策における日本軍の組織的欠陥を踏まえつつ、インフォメーション(=無加工情報)とインテリジェンス(=加工済み情報)の違い・戦略立案者と情報提供者の間の適切な距離感・中長期的戦略と短期的目標の峻別といった組織運営や仕事の遂行における重要な事項を示してくれる。 要は、旧日本軍は組織マネジメントにおける失敗例の宝庫なのだ。
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少し歴史を知っている人であれば、ミッドウェー海戦の際に日本海軍の暗号が解読されていたことは知っているだろう。もう少し詳しい人であれば、山本五十六長官機が撃墜された海軍甲事件でも暗号が解読されていたことを知っているかもしれない。さらに詳しい人であれば、機密文書が流出した海軍乙事件に...
少し歴史を知っている人であれば、ミッドウェー海戦の際に日本海軍の暗号が解読されていたことは知っているだろう。もう少し詳しい人であれば、山本五十六長官機が撃墜された海軍甲事件でも暗号が解読されていたことを知っているかもしれない。さらに詳しい人であれば、機密文書が流出した海軍乙事件についても知っているかもしれない。海軍乙事件については吉村昭の記録文学が有名であるため、興味のある人は一読してみても良いだろう。 これらの事件から得られる印象は、「日本海軍は情報の取り扱いに問題があった」という漠然とした印象であった。しかし、本書の説くところによれば、事情はもう少し複雑である。 本書の内容を語る前に、用語の解説をしておこう。日本語では「情報」と一括りにされるが、英語では Information と Intelligence の2種類が存在する。Information とは文書情報、通信情報をはじめとした生の情報、Intelligence とは Information を多角的に集めて分析を行ったものである。本書では Information を天気図、 Intelligence を気象予報にたとえて説明しているが、言いえて妙である。Information は、読み解くスキルがなければ価値がないのだ。 日本軍の話に戻ろう。日本海軍、日本陸軍ともに、現場では人数の少なさのわりに情報機関は多くの成果を上げていた。陸軍では有名な中野学校があったのみならず杉田一次や堀栄三といった有能な情報士官を擁していたし、海軍は米英の暗号解読をかなりの精度で実施できていた。しかし、組織全体としては情報をうまく利用できていなかった。 日本軍における情報利用が進まなかった理由は多岐にわたるが、そのうち3つをピックアップしたい。1つは、情報部の地位の低さである。堀栄三が著書『大本営参謀の情報戦記 情報なき国家の悲劇』で述べている通り、日本軍においては作戦部がエリートコースであり、情報部は生情報を右から左に流すだけの簡単な仕事とみられていた。事実、堀も作戦部を志望していたものの、陸大の成績が作戦部配属に足らなかったため情報部配属となっている。 ところが問題はそう単純ではない。日本軍は組織として Information と Intelligence を区別しておらず、そのため情報部の地位が低かった、というだけが問題ではない。2つ目の問題は、「優秀な」作戦部が目先の戦術目標達成のために Information をうまく利用できていたことである。 日本軍の南方進出において、陸軍はマレー半島のことをよく調査してから作戦に臨んでいる。調査は主に作戦部が主導し、結果は知られている通り大成功に終わった。戦術的な情報利用では、目的が明確でタイムスパンも短いため、優秀な人材を集めた作戦部が Information を扱っても問題がなかった。 しかし、中長期的な情報利用となると話が異なる。これが3つ目の問題で、そもそも日本軍においては中長期的なビジョンを合理的思考に基づいて作ろうとする動きが存在していなかった。このことが情報機関を利用するインセンティブを欠き、情報機関の発言力が弱まり……という悪循環を招いた。 その他にもセクショナリズムによる情報共有の不作為など、問題点は枚挙にいとまが無い。そして、数々の問題点を眺めて思うことは、現代の日本も形を変えて似たような問題を抱えているということだ。 堀は日本を「情報なき国家」と評したが、本当のところは「ビジョンなき国家」なのではないか。そう思わざるをえなかった。
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