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古代国家成立過程と鉄器生産
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古代国家成立過程と鉄器生産

村上恭通【著】

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古代国家成立過程と鉄器生産

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 青木書店/青木書店
発売年月日 2007/03/26
JAN 9784250207105

古代国家成立過程と鉄器生産

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商品レビュー

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2021/03/23

弥生時代から奈良時代までの鉄器生産(鍛冶・製鉄)の様相を個別具体的に解明することで、古代国家成立過程の展望を得ようとする研究。従来の日本(倭人)の鉄器使用や鉄器生産のあり方については、中国や朝鮮半島からのモノ・技術の伝播を強調する解釈が多かったが、それを考古学的知見で大幅に修正し...

弥生時代から奈良時代までの鉄器生産(鍛冶・製鉄)の様相を個別具体的に解明することで、古代国家成立過程の展望を得ようとする研究。従来の日本(倭人)の鉄器使用や鉄器生産のあり方については、中国や朝鮮半島からのモノ・技術の伝播を強調する解釈が多かったが、それを考古学的知見で大幅に修正し、弥生時代以来日本で独自の鍛冶技術が、そして古墳時代以降は製鉄技術もが独自の、しかし経済性はそれほど良くない発達を遂げてきたことを示している。そのうえで著者は、古代国家の成立を言えるほどの鉄器流通の権力による掌握は弥生時代ではまだなされておらず、古代国家は7世紀後半ごろに成立したとする見通しを打ち出す。「未開社会を文明社会と判断させてしまうほどの力がある」(III頁)鉄という物質が日本列島の古代史においてもった歴史的性格を、様々な事例の収集と整理から詳細に解き明かしてくれる。

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2015/05/04

弥生晩期(世にいう邪馬台国の時代)に倭国統一がなったのは、鉄の流通を掌握した人物が、それを望んだからである。という予測をたて、そのために韓国まで何回も赴いてまで材料を探した私ではあるが、この前「その割には考古学の鉄の専門書を一冊も紐解いていないよね」ということに気がついた。 村...

弥生晩期(世にいう邪馬台国の時代)に倭国統一がなったのは、鉄の流通を掌握した人物が、それを望んだからである。という予測をたて、そのために韓国まで何回も赴いてまで材料を探した私ではあるが、この前「その割には考古学の鉄の専門書を一冊も紐解いていないよね」ということに気がついた。 村上恭通氏は現代古代鉄考古学のおそらく第一人者である。その人の8年前のおそらく集大成ともいえる専門書がこれである。それ以降専門書も一般書も著してはいない。淡路島の垣内遺跡も言及していないので、情勢が変化していないわけではない。むしろ、あまりにも発掘が多すぎて整理し切れないのかもしれない。でも流石に専門書だけあって、驚きの連続だった。 「炉で熱した鉄素材を鍛治具を用いて鍛えて製品化するという鉄器生産の方法が遺構・遺物の双方から確証出来るのは弥生時代中期末葉以降である」(10p)それは当然としても、弥生時代中期から既に先行的な遺構が幾つも出ていたとは知らなかった。北九州・中部九州・山陰・西瀬戸内に関して言えば、穂摘み具以外はほとんどの利器が鉄器化していたという。しかも、大陸と比べて技術的には劣るものの既に「日本化」していた。雑種文化たる日本の面目躍如である。再加工になればさらに前期に遡る。 ここを読んで素人ながらもかなり「驚」いた。なんとなれば、弥生終末期に倭国統一を果たすはずの近畿では鉄器を用いての農耕をしていなかったというのだ。それではすべての生産量が西日本に劣るではないか!日本はどうやって倭国統一を果たしたのか?それについては、この本では何も言及されていない。 わたしはもちろん、「日本は話し合いによって、倭国統一がなされた」世界的にも稀な国である。と仮説を立てている。しかし、国力が劣っている地方でその盟主が生まれたとは思っていなかった。これは「謎」である。 製鉄技術が渡来人含めて倭人によって用いられ始めたのは、少なくとも西暦元年前後からになる。それから6世紀の初めまでの約500年間、ついには「製鉄」は行われなかったのか。それはなぜか。これも私の「謎」になる。それには著者は少し答えている。 「製鉄を弥生時代に始めた」という説を唱えている学者もいるらしい。広島県三原市の小丸遺跡は中期後半でその可能性があるらしい。しかし古墳時代の可能性も否定できず、著者は否定的だが、私には刺激的な説だった。また、熊本県西弥護免遺跡の鉄製品は低温による直接製鉄法の可能性があるらしい。 しかし大筋においては「製鉄は順調に発展継承してはなく、その生産性と経済効率の低さから、鉄素材の舶載に強く傾斜していった」(50p)つまり、製鉄よりも輸入の方がコスパが良いということだったらしい。 鉄器生産を具体的に見てみる。九州経由の技術と、山陰経由の技術がある。特に山陰の鉄器生産は特筆すべきものがあったらしい。 伝播ルートを見てみる。一つは北部九州→松山平野→今治平野。そこから芸予諸島から北上して山陽ルート。または、四国北岸地のりルートがあり、瀬戸内の真ん中を突っ切る沖のりルートは存在しなかったという。特に徳島の鉄器生産は多く、若杉山遺跡に産出する辰砂や朱の関係があったのではとも書いていた。また、東九州から高知に向かうルートもあった。 一方広島平野は中期末葉まではほとんどなかった。しかし後期中葉以降は、環瀬戸内の中心地となる。やがて東部瀬戸内地域まで、近畿と対峙するほどの質・量を誇るようになる。 東日本では、日本海沿岸を除くと、鍛治工房としてあるのは弥生終末期の愛知県豊田市の南山畑遺跡のみ。近畿も鉄器生産はなかった(この時点では大和鉄器生産拠点としての垣内遺跡は述べられていない)。 2015年5月3日読了

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2007/09/18

村上恭通氏は、本の奥付をみてみると1962年生まれの45歳。  現在は愛媛大学法文学部の教授をしてあります。  愛媛大学・・・。  最近、元気がいい大学ですね(考古学方面しか分かりませんが)。  各先生がそれぞれ活発に研究を進められておるようで、遠く離れた僕のところまでその様子が...

村上恭通氏は、本の奥付をみてみると1962年生まれの45歳。  現在は愛媛大学法文学部の教授をしてあります。  愛媛大学・・・。  最近、元気がいい大学ですね(考古学方面しか分かりませんが)。  各先生がそれぞれ活発に研究を進められておるようで、遠く離れた僕のところまでその様子が伝わってきます。  さて、今読んでいるこの本。  モノに即した立論で、しっかりした感じを受けます。いったい、どの位の資料を見てきたのか・・・。日本全国に点在する、かなりの数を見てあることだけは確かなようです。  これは、村上恭通氏の熊本→広島→名古屋→愛媛という学び舎の移動も資料調査に良い影響を与えたのではないでしょうか。  というか、自分でそのような道を選んだのでしょう。  最近、この本のテーマとなっている『国家と鉄』の関係を述べる人は多いのですが、机上の空論が多いのが難点でした。  でも、この本は、地に足の着いたもので、好感が持てるものとなっています。  おそらく、考古学関係者は結構購入しているのではないでしょうか?  あと、巻末の参考文献の多さもよく、収録されている論文も一部追補されているところがいいですね。 (論文の寄せ集めになっている本も結構あります・・・) ちなみに、僕は村上恭通氏の論文の大半を読んだつもりでしたが、半分から2/3程度しか読んでいないことが今回巻末参考文献を確認して分かりました ((゚゚дд゚゚ ))。

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