ロマンスはミステリーのなかに ミステリーセレクション9

赤木かん子【編】

• 販売会社／発売会社: ポプラ社/
• 発売年月日: 2007/03/01
• JAN: 9784591096390

商品レビュー

2023/02/12

　第九巻のテーマはロマンス。三作のうちアガサ・クリスティが二作。読む前は、偏ってるなあと思ったけど、読み終わったらまんまと「クリスティもっと読んでみたい」という気持ちになっていた。私素直すぎじゃないですか。

■アガサ・クリスティ『ジェインの求職』
　トミーとタペンスのタペンスみたいな子が主人公。ロマンス部分は、「あーはいはいって感じだわ」といったんは思うんだけどニヤニヤ楽しんでしまう自分もいる。

■山口雅也『海に消ゆ』
　万年文学少女の垂里冴子がお見合いをするたびに何かしら事件が起こり、当然見合いはダメになるという「お見合いミステリー」。始まりこそ、キャラが濃くてドタバタしているなという印象だったが、事件として描かれた“悲哀”は、悲哀だなあ。

■アガサ・クリスティ『中年の人妻の事件』
　『パーカー・パインの事件簿』という短編集からの一編。人の不幸を解決するという触れ込みのパイン氏シリーズについての、赤木かん子さんのコメント「書かれてから七十年以上もたつが、いまだにこれと同じことは起きているような気がする。小道具は違っているとしても」が鋭い。
　この『中年の…』もとても面白かった。夫の浮気？問題解決のために妻を楽しませるジゴロが差し向けられ、事態が展開していく。途中からは「これ、誰かがすごく惨めな思いして終わるといやだなあ」と警戒しながら読んだが、私が恐れていたようなことにはならず、かといって「んなわけあるかい」みたいな謎のめでたしめでたしでもなく、このマイルドビターチョコレートな味わいはハマるかも。クリスティの世界、もうちょっと興味持ってみよう。パイン氏（男）の最後の「女は…」のセリフも、書いているのは女性だと思うと許せる（笑）。

2012/07/31

アガサ・クリスティがやっぱり良かった。
乱歩とかクイーンとかもそうだけど、推理小説家って分析と分類が好きだね…好きというよりはもう呼吸するようにしてる感があるし、それを題材にして書いたものはやっぱり上手いし楽しそう。人間の本質を、世界の普遍を、拡大解釈するのが小説の一つの特徴(？)だけれども、そのことを改めて書いておく、というか登場人物に言わせるのがなんやうまいなあ、と感じさせる作品でした。

2011/10/14

子供にも楽しめるミステリー集。
この巻は、「ロマンチック」な話。

アガサ・クリスティの短編は面白い。
「中年～」は、レディスミステリー漫画にありそう。
これが入っている、パーカー・バインの事件簿、読んでみようかな。

「ジェインの求職」・・・アガサ・クリスティ
「海に消ゆ」・・・山口雅也
「中年の人妻の事件」・・・アガサ・クリスティ